専門の学者であっても、その意見は信用できない
こうした署名リストについて、識者の間からも、疑問の声が漏れている。
経済学者の池田信夫さんはツイッターで、益川敏英氏について、「物理学者としては立派」としながらも、安全保障については何を知っているのかと疑問を呈した。リストについては、「『日本人の1.3万人に1人は反対している』という以上の意味はない」と断じた。
また、著名なブロガーのちきりんさんはツイッターで、たとえ国際政治が専門の学者であっても、その意見は信用できないと指摘した。「和辻哲郎、丸山真男、都留重人、清水幾太郎など当時の知識人、インテリの皆さんはみーんな『全面講和すべし。単独講和では、日本はアメリカの戦争に巻き込まれる』と主張されてました。吉田首相が『学者は国際政治を知らんからダメ』といって、アメリカと安保条約結んでくれてほんとーによかった」と皮肉ったのだ。
ネット上でも、異論が相次いでおり、「『学者』とはいっても、安全保障についてはシロウトもいいとこ」「学者の権威を笠に着て、選挙という民主主義の結果を否定する数の暴力」「学者は中国の侵攻から守ってくれません」といった声が上がっている。
もっとも、学者にまで反対の声が広がったとして、安保法案について再考を求める声も依然ある。そこでは、「安倍政権の大失敗の一つは、アカデミズムを完全に敵に回したことだな」「自公・安倍政権は、国民世論にいよいよ追い込まれて行く」「将来政権を担う権力者が戦争しようと思えばできる状態にしてはいけない」といった危惧が出ている。