安保関連法案に学者1万人超が反対しているとする声明が出されたが、ネット上で、疑問の声も相次いでいる。その多くが安全保障問題については専門外だとみられているからだ。
「憲法9条をなし崩しにしようとしている」「安倍首相が有事と思えば戦争ができる、とんでもない法案だ」
大学教授も含まれてはいるが、多くは専門外の人たち
ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英京大名誉教授らは、東京都内で2015年7月20日に行った会見で、こう口々に訴えた。集まったのは、益川氏らが呼びかけ人となって作られた「安全保障関連法案に反対する学者の会」のメンバーら約150人だ。
会見では、メンバーらによる抗議声明も読み上げられた。そこでは、衆院特別委や本会議での法案採決について、世論調査で反対が多数を占める状況の中で、立憲主義と民主主義の破壊が行われたと指摘した。憲法学者の多くが違憲だとする中で強行採決したとして、「現政権が学問と理性、そして知的な思考そのものを無視していることのあらわれ」と非難し、「この法案を廃案にするために、国民とともに可能なあらゆる行動を実行します」と表明している。
学者の会では、学者や研究者1万人超、市民2万人超が賛同署名に応じたとし、ホームページ上でもそのことを報告している。
とはいえ、その内訳を見ると、学者や研究者と言っても、国際政治学など安保問題に関わっている可能性がある人はごく一部だ。大学教授も含まれてはいるが、多くは専門外の人たちが名を連ねている。
それも、非常勤講師や大学院生、在野研究者といった所属や肩書の人も多い。中には、障害者支援、合唱指導者、建築設計事務所とする人もいた。また、所属や肩書のない人や氏名非公表の人も含まれており、本当に学者や研究者なのか分からないケースも多かった。