「安倍はやめろ!」「憲法守れ!」「戦争反対!」――。衆議院で可決され参議院に送られた安全保障関連法案をめぐり、連日、反対集会やデモが行われている。学生グループら若い世代も加わり、日本各地で反対が叫ばれている。
著名人からもデモに関する発言が出てきている。だが、その主張はさまざまだ。
アジカン後藤「憲法守れ!でいいんだよ」
安保関連法案が衆院の平和安全法制特別委員会で可決された2015年7月15日、モデルでタレントのSHELLYさんは
「今も雨の中デモを続ける方々は本当にかっこいいと思います。若い世代が立ち上がってる事を誇りに思います。日本、どうなっちゃうんだろう」
と、ツイートの中でデモ参加者を称賛した。ファンからの「デモっていいことなんですかね」という質問には「もちろん!デモができる事も、デモをしてでも伝えたい事がある人がいることもいいこと」と返し、デモを肯定した。
ロックバンド「アジアン・カンフー・ジェネレーション」のボーカル&ギター、後藤正文さんは抗議デモの告知を度々リツイート。15日、「アナログフィッシュ」のボーカル&ベースの佐々木健太郎さんが、
「僕は不勉強過ぎる。国会前に行こうかと、何度も考えた。けど、明確に反対するだけの知識が無い気がして、その資格が自分に無い気がして。僕もまた、色々勉強しなくちゃ。襟を正すぞ」
とデモに参加するかどうかを巡って迷っていることをツイッターで明かすと、
「憲法守れ!でいいんだよ。俺も勉強しなきゃだけど、今回は憲法守れでいいんだと思うよ。『馬鹿はだまってろ』は為政者とその太鼓持ちが使うロジックだから」
と、勉強中であっても「憲法論」の側面から抗議する意義があることを訴えた。
タレントのラサール石井さんは16日、国会前で行われた反対デモに参加してきたという。その後、ラサールさんのツイッターには反発する声が届いたらしく、19日には
「国会前に行っただけで『あっちの人か』『サヨクか』『組織と繋がってるのか』とかうるせえわ。報道見てじっとしていられず自分の意志で一人で行った人は沢山いるはず。演劇仲間はみんな行った。悪いけどスマホの前でウダウダしてるあんたらと違って俺達世代は身体の芯から人間の作りが違うんだ!」
と、こうした声に反論した。
反対デモで政権側と分かり合えたことは「1回もない」
一方、反対デモに疑問を投げかける著名人もいる。
19日放送のラジオ番組で瀬戸内寂聴さんと対談したお笑いコンビ「爆笑問題」の太田光さんは、デモの有効性に対する釈然としない思いを語った。
瀬戸内さんが6月に病み上がりの体をおして国会周辺で行われた反対集会に参加したことが話題に上ると、太田さんは、過去に行われた反対デモで政権側と分かり合えたことは「1回もない」と指摘。その上で
「今までと同じやり方で、国会前でシュプレヒコールをやって...というのはもう通用しないんじゃないか」「むしろ同じ席に行って話す方が効果があるんじゃないかなと、もどかしさを感じる」
と見解を述べた。
デモ参加者に対する冷めた見方もある。元ライブドア社長の堀江貴文さんは21日、
「安保デモとかに参加してる奴らってアポロが月に行ってないとか本気で信じてるような奴らだよな。。」
と、デモ参加者たちの姿を「アポロ陰謀論信者」に重ねて表現した。堀江さんは、集団的自衛権行使容認の閣議決定に対する反対デモが行われた14年6月にも「首相官邸前に今集まってる人って暇なん?楽しいことないん?笑」「デモより立候補のほうが実効性あるで笑」などとつぶやき、参加者らを暗に批判していた。