東芝が決算の営業利益を水増ししていた問題で、調査にあたった第三者委員会は「いくつかの案件では、経営トップらが見かけ上の利益かさ上げを目的にしていた」と組織ぐるみの不正を指摘した。2015年7月20日、委員会が報告書の概要を公表。報告書では、09年3月期から14年4~12月期で、あわせて1518億円の税引き前利益を水増ししていたとしている。
報告書によると、利益水増しなどが「経営判断として行われたというべきだ」と指摘し、東芝の企業としての責任を厳しく指摘した。問題に関わった部長級以上の職員については「懲戒手続きを含む人事上の措置が望ましい」とした。
水増しした利益の内訳は、インフラなどの「工事進行基準」に伴うものが477億円、パソコンやテレビなどの部品取引に関するものが592億円、半導体の在庫にかかる水増しが360億円、取引先などに請求書の発行を遅らせてもらい、経費の計上時期をずらす手法が88億円、あった。
第三者委員会は、社長だった当時の西田厚聡氏や佐々木則夫氏らが各事業部門に対して、売上高や利益などの目標で「厳しいチャレンジ」を課し、強いプレッシャーをかけたと指弾。そのうえで、「上司の意向に逆らうことができない企業風土が存在した」と指摘している。