就活生「シェアハウス」や「サテライトキャンパス」 上京する地方大学生を支援するサービスが人気

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   2016年春の新卒採用に向け、2015年8月から経団連加盟の大企業の選考活動が解禁となる。大学4年生らの就職活動はいよいよ本番を迎えるが、地方在住の大学生にとっては、東京本社で開かれる会社説明会に参加したり、採用試験や面接を受けるのも一苦労だ。

   そこで地方の大学は国立、私立を問わず、東京にサテライトキャンパスを設け、就活生を支援する動きが広がっている。地方から上京した大学生を支援する民間の新サービスも誕生し、話題となっている。

  • 上京してくる就活生の心強い味方に(画像はイメージ)
    上京してくる就活生の心強い味方に(画像はイメージ)
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関関同立や旧帝大は大学がサポート

   地方の大学生にとって、就職活動で上京するのは容易ではない。「午前中に会社説明会に出て、次の説明会が午後5時。帰りの夜行バスが午後10時なので、スーツケースをコインロッカーに預け、バスに乗る前にデパートやファミレスのトイレで着替えることになる。その間、カフェを3軒くらい回ってエントリーシートを書いたり、時間をつぶさないといけない」(関西在住の女子大生)。地方の大学生にとっては、会社説明会や面接を受ける移動時間を調整する「拠点」の確保が一苦労という。

   そこで関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)や旧帝大など地方の有力大学は続々と東京にサテライトキャンパスを設け、就活生を支援している。関西大学は東京駅前に「東京センター」を開設し、「情報検索用のパソコンや就職関連雑誌や休憩スペースを設けている。学割証や成績証明書など各種証明書も発行できる。普段着のままここに来て、スーツに着替えて就活に臨むこともできる」という。関西学院大学は「夜行バスなどで早朝、東京に到着する学生のため、9月末まで東京丸の内キャンパスの開室時刻を早める」という。

   国立大学も有力私大に負けてはいない。東北大学は首都圏で就職活動をする学生を支援するため、「東京分室」(丸の内)と「新宿ラウンジ」を開放。学生証を提示すれば、フリースペースでパソコンやプリンターが使える。九州大学は「東京オフィス」に就職コーナーを設け、企業の会社案内パンフレットを常備し、学生をサポートしている。

スマホ充電やWi-Fi利用

   これらの東京サテライトキャンパスを利用できない地方の学生向けには、民間の支援サービスが登場している。就活・転職支援のネオキャリア(本社・東京)は、地方から上京した就活生を支援するための「就トモcafe」を2012年5月に東京・新宿に開設。年ごとに知名度を上げ、これまでに延べ約3万人が利用した。1日300円でスマホを充電したりWi-Fiを利用でき、スーツケースなどの荷物も100円で預かってくれる。更衣室を備え、店長がエントリーシートをチェックしたり、書き方のアドバイスもしてくれるという。

   情報量が少ない地方から上京した大学生には好評で、「他大学の仲間と情報交換できるメリットもある」という。地方の大学生はバイトの時間を削って上京するケースが多く、ただでさえ交通費や宿泊費がかさむ。その点、1日300円という価格は破格で、様々な就活支援をビジネスとするネオキャリアならではのサービスともいえる。

   ネオキャリアは新卒・中途採用支援のユニバースクリエイト(本社・福岡市)とともに、全国20の国公私立大学と提携し、東京・新宿で就活生を支援する「セカンドキャンパス」と呼ばれるサービスも行っている。

   地方から上京した学生に「就活シェアハウス」を提供する会社も登場した。「地方のミカタ」というユニークな名前のこのベンチャー企業は、京大院出身の岩本洋樹社長(26)の就活経験から誕生。「私も東京と地元の往復を繰り返し、節約のため夜行バスで往復したり、ネットカフェに宿泊したが、好ましい環境でないと感じた。地方と東京の就活生の格差を埋めなければいけないという思いから、2014年5月に会社を設立した」という。

   共同生活となる就活シェアハウスの利用者からは「住み始めて3週間になるが、この値段でこの立地条件の物件に住めるのは、ここだけだと思う」(沖縄県出身の男子学生)などの声が寄せられている。

   金融、商社など大企業の筆記試験や面接が始まる8月に向け、就職活動のまさにここから本番。大企業の本社が集中する東京を訪れる地方の学生にとって、母校や民間の支援サービスは心強い味方となることだろう。

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