お笑い芸人初の芥川賞作家となった「ピース」の又吉直樹さん(35)について、「報道ステーション」(テレビ朝日系)のキャスター、古舘伊知郎さん(60)が「意味深」な発言をし、物議を醸している。
2015年7月16日の同番組では、数時間前に決まったばかりの第153回芥川賞・直木賞の受賞者を紹介。あわせて、又吉さんの記者会見の模様も一部放送した。
「僕なんかの年代は『あれ?』って感じもする」
VTR後、古舘さんは「みんなすごいなぁと思うんですけど」と受賞者たちを称えつつ、「それとは別に、芥川賞と本屋大賞の区分けがだんだんなくなってきた感じがするんですけどね」と語った。
芥川賞は純文学の新人に与えられる賞で、選考委員はプロの作家陣が務めている。一方の本屋大賞は新刊書の書店員が投票して決める賞で、受賞作は大衆小説が中心。「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本」をキャッチフレーズにしており、大賞は毎回ベストセラーになり、そのほとんどが映画化されている。
発言から見るに、古舘氏は芥川賞が「大衆化」「商業主義化」してきていると感じているようだ。
この発言に、サブキャスターの小川彩佳アナウンサー(30)は笑いながら「ちょっと読んでみないと分からないですけれども...」と言うにとどめたが、古舘氏は、
「芥川賞と明らかに状況的にもね。時代が違うっていえばそれまでなんですけれども、僕なんかの年代は『あれ?』って感じもちょっとするんですよね」
とも続け、又吉さんの受賞や芥川賞のあり方に疑問を投げかけた。
「芥川賞にも又吉にも本屋大賞にも失礼」「色眼鏡かけてる」
古舘氏の発言はインターネット上でもすぐに話題になった。賛同する意見はあるものの、又吉さんの受賞や芥川賞のブランド、さらには本屋大賞をも侮辱したものと受け取った視聴者が多かったようで、ツイッター上には、
「芥川賞にも又吉にも本屋大賞にも失礼」
「権威ある芥川賞を受賞した又吉さんを馬鹿にしてるようだ」
「『お笑い芸人』が書いた作品がなんで芥川賞に、っていう色眼鏡かけて言ってる気がする」
といった批判的な意見が相次いだ。
なお、芥川賞の9人の選考委員を代表して会見した作家の山田詠美氏(56)は「選考会で、彼がどんな職業かであるかという話はほとんど出なかった」と、純粋に小説として評価したことを明かしていた。
文藝春秋社は17日、又吉さんの受賞作「火花」を新たに40万部増刷することを発表した。これにより累計発行部数は104万部に。新人の純文学作品の100万部突破は極めて異例といい、デビュー作でこれ以上ない滑り出しを切った。