給食のパンが入っていた袋から、生きたゴキブリが飛び出した。給食時の和やかな雰囲気を一転させるような出来事だが、実際に愛知県の小学校で起こった。
生きているか死んでいるかに関わらず、学校給食にゴキブリが混入する例は相次いでいる。食品衛生の専門家は、「給食を保管する施設にゴキブリが巣を作って住んでいる証拠」と語る。
混入経路は調査中
給食から生きたゴキブリが見つかったのは、愛知県尾張旭市の市立白鳳小学校。同市の学校給食センターによると14日、同校4年生の児童がクラス全員分のロールパンが入ったポリ袋を給食時に開けた際、1匹のゴキブリが飛び出してきた。現在のところ、健康被害は出ていない。ゴキブリはそのまま飛んで逃げてしまったため、大きさなどは確認できていないという。
ロールパンを入れた袋は、搬入業者によって運ばれる段階から教室で開けられるまで密閉されていなかった。学校給食センターは、侵入経路について「現在調査中」と語っている。
他校にも同じ製造業者の作ったパンが届けられたが、ゴキブリの混入は確認されていないという。
実は同市の市立小では、2年前にも同様の混入事故が発生している。13年10月15日、市立瑞鳳小学校で給食のパンが入ったポリ袋に生きたゴキブリ1匹が混入しているのが発見された。今回の事例とほぼ同じ状況だ。給食センターによると、この件に関しても「侵入経路は未だ不明」という。
他県でも類似報告
学校給食にゴキブリが混入したという事例は、過去にも多くマスコミ報道されている。三重県津市の市立小学校で7月3日、給食の米粉パンが入った箱にゴキブリの死骸が入っていた。体長は2センチほどで、パンとパンの間に挟まっていたという。
また、5月15日にも神奈川県逗子市の小学校で、給食のパンが入ったケースから、生きたゴキブリやゴキブリの死骸が見つかった。
愛媛県でも5月26日に伊方町立小学校で、6月16日には西予市立小学校で出された給食にゴキブリの死骸が混入していた。いずれのケースも健康被害は報告されていないが、この2か月間、報道で確認できたケースだけでも5件を数える。
多発する学校給食への「ゴキブリ混入」。背景には一体何があるのか。食品安全教育研究所代表の河岸宏和さんは、給食を保管する施設にゴキブリが巣を作っている可能性を指摘する。混入リスクを回避するには、給食を保管する施設にポスターを貼らない、配電盤を設置しない、保管棚を床から15センチ以上の位置にするなど「(ゴキブリが)巣を作れないような環境管理」をしなければならないと話す。
河岸さんによると、作業員が作業着を着たまま外を歩いていたり、床が地面と同じ高さにあったり、食品保管室に包装資材などが段ボールのまま置かれていたりする食品工場は、今後もゴキブリ混入が発生する可能性が高いと指摘している。