質問を最後まで聞かず、自らの意見を一方的に話す
一方、勝久氏は社債の償還期限の延長について、「社債を引き受けたのは、子供たちの生活費を援助するつもりだった。久美子からの提案だったので、信頼して言われたとおりに了解したが、援助が必要なくなったら(15億円を)返してもらうつもりだった。償還期限の自動延長は、一度も言われたことがありません」と反論。「いま考えると、株ではなくて(援助のための)お金を渡すほうがよかった。久美子を信頼したら、こうなったんです」と、悔いている様子もうかがえる。
勝久氏のボルテージが上がったのは、大塚家具の経営権について言及したときだ。「大塚家具はいつまでも大塚家のものとは思わない」としながらも、久美子社長の弁護人に「あなたが会社に復帰することがいいことか」と問われると、「はいそうです」と答えた。
経営トップを久美子社長に譲った経緯について
「久美子が...、久美子さんが、私に相談にくると思って任せたが、相談はなかった」
「(久美子社長が)私に任せろと再三言うので任せた」
と主張。これに、久美子社長は「不祥事で意気消沈していた原告に、社長を代わってほしいといわれた」と述べ、主張は食い違った。
さらには感情が高ぶったのか、「暴走」ぎみに、
「今の大塚家具は(創業から)45年で、初めて私がいない経営なんです」
「なぜ私を追い出すようなことをしたんですか」
「いま私は無職ですから。経営者は久美子ですから」
などと発言。
久美子社長の弁護人に向かって、「へ理屈は大嫌いなんです」と声を荒らげるシーンや、質問を最後まで聞かず、自らの意見を一方的に話す態度に、裁判長が「あんまり言うと、(発言を)制限しないといけなくなりますよ」と、あきれるほど。自身の弁護士からも、「質問の答えだけ。我慢してください」と注意される一幕もあった。
どうやら勝久氏は、かなりうっぷんが溜まっていたようだが、発言の一つひとつが経営復帰への「執念」のようにも映る。
大塚家具は2015年6月の店舗売上高が前年同月に比べて49.6%増となり、2か月連続で前年実績を上回った。増税前の13年6月と比べると24.4%増。ようやく業績回復のきっかけがつかめそうだが、一方の父娘げんかは泥沼化の様相だ。