「ずさん」「あぜん」「無責任」「もはや見直すしかない」 新国立競技場、「産経」「読売」「日経」も激烈に批判

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五輪がらみで異例の厳しさ

   際立つのは、安保法制や歴史認識などで安倍政権を支持、また安倍路線推進の論調が目立つ各紙も、新国立競技場に限っては、批判の論陣に加わっていることだ。

   「産経」の社説にあたる7月9日「主張」は、JSCの河野一郎理事長が「国民一人一人の財産になる」と述べたことに、「ずさんな計画の責任を国民に転嫁するつもりか」とかみつき、「この計画はあまりに無責任だ。計画を見直す、これが最後の機会であると危機感を持ってほしい」と強く要求。「日経」も7月10日社説は「これほど無謀な国家プロジェクトがいっさいの見直しもなく進行する事態に、あぜんとするばかりだ」という厳しい書き出しで始まり、「危惧すべきは新競技場そのものの問題だけではない。こういう感覚でものごとを進めていく無責任体質が、いま日本をむしばんでいることが恐ろしい」と、一度動き始めたら止まらない「公共事業体質」にも批判の矛先を向ける。

   極めつけは「読売」だ。7月9日社説で「財源のメドすら立たないまま、建設へと突き進む。あまりに愚かで、無責任な判断である」ときつい言い回しで批判。「JSCを所管する文科相こそが責任者だろう」「有識者会議に出席した東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長や遠藤五輪相、舛添要一東京都知事らが着工にお墨付きを与えたことは、理解に苦しむ」など、関係者を槍玉に挙げ、「東京五輪の『負の遺産』として、将来世代にツケを回すことは、決して許されない」と、最後まで厳しい言葉を連ねた。

   ある大手紙関係者は「一般に、五輪関係の論調は甘くなりがちだ。というのも、五輪関連で広告を集めるなど、新聞自身の儲けに直結するからだ」と語る。それだけに、この問題での各紙の論調の厳しさは「異例」ともいえ、現行計画の「筋の悪さ」を一層際立たせている。

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