専業主婦は優遇されすぎている! 税制改正論議スタート、「配偶者控除」見直しへ

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来年の参院選を前に、与党から慎重論が噴出か

   5案は、(1)配偶者控除廃止、(2)所得制限導入、(3)配偶者の収入に関わらず夫婦の所得控除枠を一定にする、(4)同様に夫婦の税額控除の枠を一定にする、(5)新たに「夫婦控除」創設――の5つ。(1)と(2)は、一応考え方として載せた程度のもの。(3)は妻が働かない方が負担は軽くなり、女性の就労促進につながらないとされ、この修正版として(4)案が併記された。

   そこで最も有力といわれているのが(5)の夫婦控除。夫か妻か、収入の多い方の所得から一定額を控除することになるとみられる。例えば今のサラリーマンの基礎控除38万円と配偶者控除38万円を合わせた76万円を「夫婦控除」とするといったイメージだ。

   ただ、所得控除は税率の高い高額所得者ほど有利(控除額76万円の場合、税率10%世帯は7.6万円、40%世帯は30.4万円の税金が少なくなる)。このため、一定の所得制限を設ける、あるいは税額控除を導入するなどが議論になる見通しで、現時点で、着地点は見通せない。

   また、配偶者控除の見直しは賃金体系にも影響する可能性がある。厚生労働省によると、企業の3分の2は家族手当などを上乗せ支給しているが、支給基準の多くが配偶者控除と同じ「妻の年収103万円以下」となっており、この見直しが求められることになる。

   実際、トヨタ自動車は妻が専業主婦の場合に支給している配偶者手当を廃止して子ども手当を増額する方針を示し、話題になっている。さらに、妻の年収が130万円を超えると年金や健康保険などの社会保険料の支払いが求められ、手取りを減らす要因となる「130万年の壁」も見直しを迫られそうだ。

   政府税調は今秋に中間とりまとめを行い、来夏に答申する予定で、政府は早ければ2017年度税制改正に答申の内容を反映させる。ただ、配偶者控除の見直しには、来年の参院選を前に、与党から慎重論が噴出することも予想される。自民党は「配偶者控除維持」としていた2013年参院選の表現を、2014年の衆院選公約で「働き方に中立的な税制・社会保障制度などについて総合的に検討する」に変更しているが、スンナリとこが進むとは限らない。

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