おざなりなアンケート調査や引き継ぎの不徹底、教育委員会への未報告。岩手県矢巾町の中学2年、村松亮さんが自殺したとみられる事件で、担任教師だけでなく学校全体の対応のずさんさが次第に明らかになってきた。
教育評論家の「尾木ママ」こと尾木直樹さんはブログなどで「よほどおかしい学校です!!」と同校の対応のまずさを痛烈に批判している。
教育委への「いじめ報告」はゼロだった
村松さんがクラスやバスケ部の同級生からいじめを受けていたことは、学校全体としてもっと早く把握できていたはずだった。中学1年だった2014年5月ごろから、「生活記録ノート」には「まるでいじめられるような気分でいやです」「もうげんかいです」と書いて、いじめ被害を当時の担任に訴えていた。また9月には担任やバスケ部顧問、いじめグループのリーダー格の生徒の4人で面談。いじめをしていた生徒を指導したという報道もある。
しかし村松さんの入学後、この中学から同町教育委員会への「いじめ報告」件数はゼロだった。校長は2015年7月12日に放送された「Mr.サンデー」(フジテレビ系)の取材に「いわゆる定義に照らした時のいじめとは判断しなかった」と釈明していた。
同番組では、村松さん以外にも同級生からいじめを受けていたという女子生徒を紹介。村松さんのクラスだけでなく、いじめが蔓延していると伝えていたが、この中学ではあくまで「いじめ」とは判断されていなかった。
また中学1年時のいじめが明らかだったのにもかかわらず、1年の担任から2年の担任にはうまく引き継がれていなかったようだ。15年6月、生活記録ノートに「もう生きることにつかれたような気がします」と書かれていたが、担任からは「どうしたの?テストのことが心配?」など、どこかずれた回答が目立つ。
6月には生徒へのいじめ調査アンケートが行われ、村松さん自身「からかわれたり、いじめられたりする時がある」と回答していた。しかし、この調査を受ける形での村松さんと担任の個別面談は行われなかった。ほかの生徒が先に行われ、後回しになった村松さんとは結局実施されなかったようだ。