レギュラーガソリンの価格がジワジワと上昇している。
ガソリン価格は2014年7月をピークに上昇を続けていたが、秋以降に急落。2015年2月の1リットルあたり130円を「底」に再び上昇しはじめていた。
原油価格、15年1月が「底」だった・・・
資源エネルギー庁によると、2015年7月6日時点のレギュラーガソリンの小売価格は1リットルあたり145.2円(全国平均)。上げ幅は半年ぶりに145円台に乗せた前週に比べて0.1円の値上がり。2週前と比べても0.3円とわずかだが、これで11週連続の上昇となった。ジワジワと上がり続けている。
地域別でみると、値上がりは21府県、横ばいが9県、値下がりしたのが17都道県となった。
値上がりは、原油価格が1バレル60ドル前後と高値水準で推移していることがある。
国際的な原油価格の指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の相場は、15年1月に前月比5.03ドル値下がりして48.24ドルを記録。月末の価格としては2009年2月以来となる約6年ぶりの安値を更新していた。これを「底」に反転。5月には59.26ドルに上昇した。
加えて、円安で原油の輸入価格が上がりしたことがある。円相場をみると、年初から1ドル119円台で推移していたものの、それが5月下旬から円安が急進して、6月2日には東京外国為替市場で2002年12月以来12年半ぶりに1ドル125円台を付けた。
その後も1ドル123円前後の円安基調が続いている。
原油価格の上昇と円安の進展に伴い、石油元売りがガソリンの卸価格を引き上げた。石油元売りが原油価格の上昇を卸価格に反映するのは、2、3か月前の価格とされる。現在のガソリンの小売価格は1月5日の145.2円以来の高値。原油価格の反発は2月以降にはじまっており、最近のガソリン価格には4~5月の上昇分が「上乗せされている」というわけだ。
JX日鉱日石エネルギーによると、ガソリンの卸価格(平均)は1リットルあたり、5月は前月比4.8円も上昇、6月は1.7円値上がりした。また、昭和シェル石油の6月のガソリンの卸価格は1リットルあたり前月より2.4円上昇、出光興産も前月比で1.9円上昇した。
足元でも原油価格は上昇基調で、卸価格もしばらく値上がり基調が続きそうだ。
原油価格より、円安の影響のほうが大きい?
資源エネルギー庁から調査の委託を受けている日本エネルギー経済研究所によると、レギュラーガソリン価格は「当面は小幅な値動きが予想されるが、国際的な原油価格は混迷するギリシャ情勢や中国経済の先行きに対する警戒感から、今週(2015年7月6日の週)に入って値下がりしている。この状況が続けば、ガソリン価格も7月中旬以降、値下がりに転じる可能性がある」とみている。
ただ、国内では少子高齢化によってガソリンの需要そのものが減る傾向にあることから、「上昇圧力はかかり続ける」との見方も少なくない。
そうした中で、原油やガソリン価格の上昇による企業の倒産が懸念されている。帝国データバンクによると、2015年上半期(1~6月期)の企業倒産件数は4400件で、前年同期を356件(7.5%減)下回り、上半期では2001年の3905件に次ぐ低水準だった。
ただ、倒産件数を四半期ベースの件数をみると、2期連続で前期比プラスとなったほか、半期ベースでは前年同期比でこれまで10.4%、11.9%と2期連続して2ケタ台だった減少率が7.5%にとどまり、最近は減少率がやや鈍化している。
倒産件数を「下押し」しているのが、円安だ。最近のガソリン価格の上昇も、「原油価格の動きよりも円安の影響のほうが大きい」との指摘もある。
帝国データバンクは、「円相場は、年明けから4か月以上120円前後の円安水準が定着しつつある。急速な円安進行には一定の歯止めがかかってはいるが、運輸、繊維やアパレル、食料品関連を中心に円安の影響を受けた関連倒産は少なくない」としており、「円安関連倒産」は6か月連続で前年同月より増えている。
2015年4月の円安倒産は35件で、業種別でみると卸売業が16件。次いで運輸業が9件、製造業は8件だった。運輸業や漁業、ガソリンスタンドなどの倒産が相次いだ、2006年の「原油高倒産」のようなことがなければよいが・・・。