原油価格より、円安の影響のほうが大きい?
資源エネルギー庁から調査の委託を受けている日本エネルギー経済研究所によると、レギュラーガソリン価格は「当面は小幅な値動きが予想されるが、国際的な原油価格は混迷するギリシャ情勢や中国経済の先行きに対する警戒感から、今週(2015年7月6日の週)に入って値下がりしている。この状況が続けば、ガソリン価格も7月中旬以降、値下がりに転じる可能性がある」とみている。
ただ、国内では少子高齢化によってガソリンの需要そのものが減る傾向にあることから、「上昇圧力はかかり続ける」との見方も少なくない。
そうした中で、原油やガソリン価格の上昇による企業の倒産が懸念されている。帝国データバンクによると、2015年上半期(1~6月期)の企業倒産件数は4400件で、前年同期を356件(7.5%減)下回り、上半期では2001年の3905件に次ぐ低水準だった。
ただ、倒産件数を四半期ベースの件数をみると、2期連続で前期比プラスとなったほか、半期ベースでは前年同期比でこれまで10.4%、11.9%と2期連続して2ケタ台だった減少率が7.5%にとどまり、最近は減少率がやや鈍化している。
倒産件数を「下押し」しているのが、円安だ。最近のガソリン価格の上昇も、「原油価格の動きよりも円安の影響のほうが大きい」との指摘もある。
帝国データバンクは、「円相場は、年明けから4か月以上120円前後の円安水準が定着しつつある。急速な円安進行には一定の歯止めがかかってはいるが、運輸、繊維やアパレル、食料品関連を中心に円安の影響を受けた関連倒産は少なくない」としており、「円安関連倒産」は6か月連続で前年同月より増えている。
2015年4月の円安倒産は35件で、業種別でみると卸売業が16件。次いで運輸業が9件、製造業は8件だった。運輸業や漁業、ガソリンスタンドなどの倒産が相次いだ、2006年の「原油高倒産」のようなことがなければよいが・・・。