地元自治体や住民の理解が必要
一般公道を一時閉鎖し、クローズトコースとして使用するレースはF1モナコグランプリなどが知られるが、恒久施設としてサーキットを新設するよりも設備投資や維持費がかからず、市街地コースとなるため集客効果が高いといったメリットがある。とりわけ近年は電気自動車のフォーミュラEが登場。F1のような排気音や排ガスが出ないため、史上初めて全レース市街地の公道レースが実現し、ロンドン、ベルリン、モナコ、マイアミ、モスクワ、北京など10都市を転戦している。「観客にとって交通の利便性が飛躍的に向上するだけでなく、大都市のランドマークを背景にフォーミュラカーが疾走するかつてない光景と興奮を味わえる」(関係者)という。このレースは日本でも民放がテレビ放映しており、東京が加わったとしても、少しも違和感はない。
日本でもこれまで1990年代初頭に北海道の新千歳空港周辺でF1開催が検討されるなどしたが、陽の目を見なかった。しかし、近年は沖縄県豊見城市でスーパーGTの公道レースが計画されるなど、モータースポーツを観光や地域振興に生かそうとする動きが具体化している。
もちろん危険や騒音が伴うモータースポーツの市街地開催は地元自治体や住民の理解が必要だが、健全なモータースポーツは地域振興だけでなく、交通安全教育など様々な波及効果も期待される。いずれにせよ、今回の法案が成立すれば、日本でも公道レースが実現する可能性は格段に高まるだろう。日本の自動車文化の成熟に寄与するのは間違いない。