中古物件のネット売買は国策に適った動き
国土交通省の中古住宅流通シェアの国際比較データ(2013年12月)によると、日本のすべての住宅流通量(中古と新築の合算)に占める中古住宅の流通シェアは約13.5%で、欧米諸国と比べて6分の1程度と低い水準にとどまっている。
この課題に対して、政府は20年までに中古住宅の流通・リフォーム市場を20兆円に倍増させる目標を掲げている。中古住宅の流通市場やリフォーム、リノベーションのネット取引の環境が整えば、市場の活性化につながりそうだ。
その一方で、町の不動産屋の多くは、地域に根差した中古物件の売買を中心とした商売で成り立っているとされる。中古物件の売買では不動産業者間で物件情報を共有していたため、個人が直接物件を探すことがむずかしかったことや、物件に直接足を運んで取引を決める人が多かったためだ。
ネット取引の広がりで、町の不動産屋の危機感は募るばかりのようだ。
最近は、こうしたIT大手と住宅・不動産業者の提携が活発化している。
日本マイクロソフトとリクルートの「SUUMO」がWEB上の地図を利用した住宅・不動産情報検索サービス「Bing不動産」の提供を2015年5月25日にはじめたことは、不動産販売業者らが手がける、「日本最大級」をうたった数多くの住宅・不動産情報の検索サイトにとって脅威と受け止められたようだ。
両者の提携で、不動産情報サイトの淘汰が進むのではないか、との見方が広がったためだ。
さらには、アマゾンジャパンが住宅リフォームに参入。積水ハウスグループや大和ハウスリフォーム、ダスキンと組んで、2015年6月30日に「リフォームストア」をオープン。キッチンや洗面台、ユニットバス、トイレなどのリフォーム商品やハウスクリーニングサービスなど、3社の5000品目以上をネット販売している。
アマゾンが住宅リフォーム商品・サービスを取り扱うのは世界初という。