「集団訴訟しませんか?」――。モバイル通信サービス「UQコミュニケーションズ」のユーザーが発起人となって、同社に対する集団訴訟を呼びかけ、波紋を広げている。
このユーザーによると、同社が広告などで「制限ナシ!」などとしながら、利用時に一定条件を満たすと通信の速度制限がかかることに抗議している。集団訴訟への賛同者は数百人規模になる見通しだ。「お客様満足度No.1」に輝いたUQコミュニケーションズにいったい何があったのか。
ブログには1500人以上の賛同希望者
訴訟を起こそうとしているのは、「UQコミュニケーションズ」のネット通信サービス「WiMAX2+」のユーザーたちだ。
2013年10月に始まったこのサービスは、「ヤバイ速」「ギガ放題」などのフレーズを広告などに使用し、「最速220Mbps(下り)」といった通信速度の速さや月々のデータ量制限がないことを売りにユーザーを獲得してきた。
しかし2015年4月1日から通信の速度制限を開始。直近3日間で3GB以上利用した場合に速度制限がかかるようになった。このため「速度が遅くて使いものにならない」状態になり、ユーザーたちの反発を招いてしまった。
同社はサービス開始時から速度制限の説明はしていたというが、ユーザーの言い分とは食い違いがある。ユーザー側は、広告表示の注意書きが小さく分かりにくかったり、契約時に「実際には制限がかからない」などと説明を受けたりした人がいるという。
こうした対応に反発し、ブログで「集団訴訟しませんか?」と呼びかけたのが、会社員の岡田真弥氏だ。岡田氏自身、店頭での契約時に「実際に制限がかかることはない」と説明されたそうだ。J-CASTニュースの取材に「ウソをついてでも契約を取ってしまえばいい、という考え方がまかり通ることは納得できない」と訴訟を思い立った動機を語る。
具体的な内容は固まっていないが、すでに複数の弁護士と協議を進めている。「ユーザーをだますような広告をやめること」「無償解約に応じること」などを求める方針だ。
ブログには2015年7月9日時点で、1500人を超える賛同希望者がコメントを寄せている。実際に集団訴訟になれば委任状が必要なためこの数字通りの賛同者は集まらないかもしれないが、数百人規模になる見通しだという。
ただ、必ずしも訴訟を前提として活動している訳ではないという。要望に応じて、謝罪するなど対応があれば、取りやめることも考慮している。
総務省にも相談が相次いでいた
「WiMAX2+」との契約に不満を持ったユーザーは岡田氏たちだけではない。総務省には速度制限がはじまった15年4月ごろから、複数のユーザーから相談が寄せられていた。
消費者行政課によると、通信事業者には契約時にサービス内容を説明する義務がある。同社も確かに契約書面には速度制限を行う旨の記述があったが、広告では表示が小さいなど「誤解を招きかねない表現があった」という。そのため同社からヒアリングを行い、是正を要求したという。
実際にUQコミュニケーションズは広告などで注意書きの文字を大きくするなど「より分かりやすくなるように、制限の内容を目にとまりやすい個所に記載することとしました」(同社広報)という。出版物などでの広告では反映が間に合っていない場合はあるが、同社サイトではすでに対応をしているという。ただ、集団訴訟の動きに関しては把握しているものの「現時点で申し上げる事項はございません」と回答している。