維新の党が提案している安全保障関連法案の「対案」をめぐり、松野頼久代表らが2015年7月9日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見した。維新案は政府与党案と違って「合憲」だと指摘する学者が多数派だが、集団的自衛権の行使を認めず、ホルムズ海峡での機雷掃海もできないなど政府案との隔たりも大きい。
与党は来週にも衆院で採決に踏み切るとの見方もあり、松野氏は棄権の可能性については「大いに秘めている」とけん制。立ち位置が与党に近いという指摘もあることについては、自らが「野党」だと改めて強調し、対決姿勢を強めていた。
維新案は「きわめて厳格に要件を規定している」とアピール
維新案では、政府案の「存立危機事態」という概念に対抗する形で「武力攻撃危機事態」と呼ばれる概念を設けた。日本防衛のために活動している外国軍が攻撃され、日本が攻撃を受ける危険性が明確になった場合に限り、これまでの個別的自衛権を拡張する形で自衛隊の武力行使を可能にした。引き続き集団的自衛権の行使は認めない。当然、与党が数少ない事例として出しているホルムズ海峡の機雷の掃海もできない。
小野次郎安全保障調査会長は、政府案を「要件があいまい」で「国民からみれば歯止めがかからない」のに対して、維新案を「きわめて厳格に要件を規定している」とアピールした。
維新案は7月10日にも実質審議入りする見通しで、維新としては、参院で議決できなくても衆院で再可決が可能となる、いわゆる「60日ルール」が適用できなくなる7月下旬まで審議を引き延ばしたい考えだ。
だが、与党は7月15日にも委員会で採決し、16日にも衆院を通過させるシナリオを描いている。与党としては、たとえ数日であっても与党案と維新案を並行して審議することで、「強行採決」色を薄める狙いがある。