VWとの世界競争に勝つ
こうした近年の動きに危機感を抱いたトヨタが、生産開始から初めての全面刷新に踏み切ったと見られている。第1弾が、7月2日にタイから輸出したピックアップトラックで、タイ国内では先行して5月に発売していた。豊田社長は「ある自動車会社が商品を全面的に入れ替えるようなもの」と今回の全面刷新を表現したという。
刷新により、燃費性能は約1割向上。走りの静かさなどを含めて乗り心地も改善したほか、新興国では重要な「壊れにくさ」も高めたという。一方で値上げ幅は1割程度に抑えることで、他社との競争力を高めた、というのがトヨタの説明だ。
トヨタの最大のライバルである独フォルクスワーゲン(VW)は中国を最大の成長拠点と位置づけ、工場新設をはじめとした設備投資も増やしている。一方、トヨタのIMVは苦手とする中国以外の新興国を意識しており、とりわけトヨタ車の人気が高い東南アジアが主要なターゲットだ。中国は世界最大の自動車市場とはいえ、今後は成長の鈍化が指摘されるだけに、このIMVが世界販売台数トップの座を左右する存在に成長する可能性を秘める。