東京電力「自由化」に備え異業種提携を加速 Tポイントやソフトバンク、ガス会社とも組む

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料金が2割下がれば顧客が入れ替わりかねない

   一方、東電以外の会社もそろり動き出した。関西電力は首都圏の電力需要を取り込むため、KDDIと業務提携交渉に入った。携帯電話と電力を別々に契約するよりも、セットで契約することで料金を引き下げ、新規の顧客を獲得したい考えだ。東電がソフトバンクと組むのと対抗する格好になる。

   ところで、消費者の電気料金の意識を巡って興味深い調査結果が最近発表された。みずほ情報総研のアンケート(今年2月実施、回答3500人)によれば、2016年4月以降、「現在より低ければ乗り換えたい」との答えが83%で、「料金にかかわらず乗り換えたくない」の10%を大幅に上回った。

   消費税も上がり、物価も上昇基調の昨今、消費者が固定費の代表選手である電気料金に注ぐ視線が厳しいことを改めて示した。どの程度安ければ乗り換えを検討するか、という質問には「5%」が19%で、「20%」は66%に上った。2割下げればごっそり顧客が入れ替わりかねないということになる。

   ただ、燃料費の安い原発がほとんど動かないなか、値下げ競争が電力会社の経営に与える影響は厳しいものがあり、競争などしたくないのが本音ともみられている。それでも東電が「提携ラッシュ」の状態にあるのは、首都圏を守るだけでなく、「自由化の旗を振る大株主の国の意向を反映している」との見方が多い。消費者にとっては東電が先兵役になって値下げが広がることがありがたいが、一筋縄ではいかない電力業界だけに、本当に料金が下がるかは要注目と言える。

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