休眠預金「年間500億円超」を活用へ 議員立法最終調整、今国会で成立の見通し

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「最終異動日から10年を経過した預金」

   休眠預金を官民で活用する先例は海外にある。米国では休眠期間3年で預金を金融機関から州政府に強制移管し、州予算に活用している。英国は休眠期間15年、フランスは同10年で、それぞれ管理機関や預金供託公庫に移管し、英国は地域で活動するチャリティ団体に提供。フランスは国家予算で活用している。韓国は休眠期間5年で管理財団に移管し、低所得者向け福祉事業などの支援金として活用しているという。

   超党派議員連盟が作成を進める法律案によると、休眠預金は「最終異動日から10年を経過した預金」と定義。この休眠預金を預金保険機構に移管し、国家予算ではなく、民間の公益活動事業に活用する方針だ。

   具体的には「人口の減少、高齢化の進展等の経済社会情勢の急速な変化が見込まれる中で、行政が対応することが困難な社会の諸課題の解決を図ることを目的に、民間の団体が行う公益に資する事業」とされ、(1)生活困窮者の支援(2)子供、若者の支援(3)地域活性化の支援――などを想定している。内閣府が監督する「指定活用団体」などを通じ、公募で決定する全国の一般財団法人やNPOなどに、必要な資金を助成したり、貸付、出資などを行うという。議員連盟は、難病の子供を抱える家族への支援、過疎地のお年寄りの雪下ろしの支援などを挙げている。

   もちろん、本来は預金者の私有財産である休眠預金の活用には慎重な意見も多い。英国や韓国では、休眠預金の活用に合わせ、預金者が休眠口座の情報をインターネットで検索できるシステムを構築した。預金者が自分の休眠口座を発見した場合、金融機関から直ちに払い戻しを受けられるようにするためだ。しかし、日本では今のところ、預金者が休眠口座の情報を照会できるオンラインシステムの整備は議論になっていない。

   休眠預金を福祉や教育などに活用するには「国民の理解が必要になるとともに、休眠預金の発生を可能な限り減少させる試みも必要だ」(大手金融機関系の総合シンクタンク)という指摘もある。全国銀行協会は法制化に当たり、「これまで同様、休眠預金の引き出しが可能である点を、政府は国民に周知徹底する必要がある」と自民党に求めている。

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