「爆買い」も冷え込む?
信用取引で株価が大きく下落した場合、通常は追加保証金(追証)を差し入れる必要が出てくる。前出の第一生命経済研究所の西濱徹氏は、「個人投資家らは追証を手当てしようとしますが、銀行は貸してくれません。それをどうにか手当てしようと無理するわけですから、借金が増えるばかりになります。個人の損失が膨らめば、結果的に消費に資金が回らなくなりますし、景気がさらに悪くなり、不動産価格も下落する。そんな悪循環に陥ってしまうわけです」と説明する。
つまり、「最近は話題にもならなくなりましたが、(銀行に代わって資金を融通する)シャドーバンキング問題がまったく解決されていないわけです」という。
日本にとっては、「中国人観光顧客による『爆買い』に影響が出る可能性もあります」とも話す。
一方、ギリシャ問題が中国へ飛び火するのではないか、と懸念する声も少なくない。中国の実体経済では、これまで「成長エンジン」としてけん引してきた輸出の伸び悩みが鮮明になってきた。それに伴い企業業績の伸びも、さほど期待できないとの見方が広がっている。
そんな中国の輸出をけん引してきたのが、ギリシャをはじめとするEU諸国だ。中国の李克強首相は「中国はギリシャがユーロ圏に残ることを望む」と表明しているが、それは中国が重要な貿易相手でありほか、長期にわたり欧州の国債などを保有しているため。「ギリシャがユーロ圏に残るかどうかは、欧州だけでなく中国にも関わる問題」と強調している。
西濱氏は「中国経済の後退は、中国の国内問題による要因が大きいので、今すぐギリシャ問題を結びつけて考える必要はないと思います」と、今回のギリシャ問題と中国株の急落は「それぞれ別の原因で、たまたま同じタイミングになっただけ」という。
ただ、ギリシャ問題がイタリアやスペインなどの欧州圏に拡大した場合は、「経済的な連携を強めるアジアの新興国への影響もありますから、世界経済の重石になることも予想されます」と話す。