プロ野球はリーグ戦が始まって満80年になるが、セ・リーグ全球団が勝率5割を切る歴史的な日(2015年7月3日)が生まれた。
この低レベルの戦い、注目されると同時に廃止の声もささやかれて始めた。
今年のセはコテンパンにやられた
その日のセ球団の成績は次の通り。
(1)ヤクルト 37勝38敗1分 4割9分3厘3毛
(2)阪神 36勝37敗1分 4割9分3厘1毛
(3)巨人 37勝39敗 4割8分7厘
(4)DeNA 36勝38敗1分 4割8分6里4毛
(5)広島 35勝37敗1分 4割8分1毛
(6)中日 33勝42敗1分 4割4分
ゲーム差にする、1位と2位はゼロ、3位から5位までの3チームは首位に0.5。最下位と首位は4。これは4連勝4連敗で並ぶ。
この史上初の出来事は、セ・パ両リーグが対戦する交流戦の結果がもたらしたものである。これまでもパが優っていたが、今年のセはコテンパンにやられ、214勝231敗5分で17敗もの差をつけられた。
交流戦が始まる前のセは、DeNAが首位で貯金10。2位が巨人で同じく8もあった。ところが交流戦でDeNAは3勝14敗1分という大敗で借金生活に陥ってしまった。巨人も貯金を2まで減らした。後半戦が始まったとき、勝率5割を上回っていたのは巨人だけになっていた。
後半戦再開から間もない6月23日にはセ全体の貯金ゼロになり、それから10日後に「記念の珍事」が起きたのである。
日替わりで順位が変わる
まさにセは混迷。明日はどうなるか分からない、という状況だ。DeNAは4日には5位に落ち、低迷していたヤクルトは首位に浮上したかと思うと、5日には4位に転落。交流戦のおかげでチャンスが転がり込んできたのはスタートでつまずき最下位で苦しんでいた広島で、上位の体たらくで3位まで上がった。
専門家は嘆く。
「まれに見る低レベルのペナントレース。記憶にない」
ところが逆にこれがファンに大受けのようなのだ。なにしろ日替わりで順位が変わり、まさに1勝の価値が高いわけである。
「これほど他球場の経過が気になるシーズンはない」
こんなファンの声がある。イニングが進むにつれ一喜一憂する、ファンにとってはたまらないペナントレースなのだ。
パはソフトバンクが独走態勢に入った格好。さらに日本ハム、西武が強く、優勝はこの3チームに絞られたといえるだろう。それだけにセの先の見えない混戦は面白い。
これが球界内部の話になると、セは不機嫌なのである。交流戦の対戦成績は圧倒的にパが強い。この試合はパの人気政策に協力し、大リーグ方式を希望するファンの要望などで実現した経過を持つ。
「もう、交流戦の役目は果たしたのではないか」
こんな声がセ側から聞こえてくる。交流戦は当初と比べ対戦が減り、いまは1カード3試合。いよいよ以前のように戻す話が出てきそうな雲行きで、オフには一騒動あるかもしれない。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)