東京電力福島第1原発の汚染水問題で、東電が進めている「凍土遮水壁」による対策が苦戦している模様だ。福島民報電子版は2015年7月6日付で、「目標とする今年度末の本格凍結の完了が困難な状況となった」と報じた。
東電では「高い遮水性を確保できる凍結工法を用いて地下水の流れを遮断する目的」で、1~4号機を囲むように凍土方式による壁を陸側に建設し、2015年4月30日に試験凍結を始めた。1か月後の5月31日、産経新聞は「凍結管周辺の地中温度が最大で25度ほど低下し、温度計周辺に霜の付着が確認されたが、地点により温度にばらつきがあり、土壌の凍結も確認されていない」と伝えた。
先述の福島民報の記事は、試験開始後の2か月間の平均地中温度が、18か所の観測地点のうち12か所で氷点下にならなかったとしている。さらに「原子力規制委員会が遮水壁運用の条件とする建屋周辺の井戸『サブドレン』からの取水などのめどが立っていない」とも報じている。