「ちょい飲み」ハンバーガーチェーンでも 缶ビールとフライドチキンの「おつまみセット」

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   牛丼チェーンの「吉野家」が2014年、都心部の店舗で本格的に導入した、「つまみと酒」のような居酒屋的メニューを提供する「吉呑み」が好調だ。こうした「ちょい飲み」需要を取り込もうとする動きが外食産業全体に広がっている。

   「ワタミ」など「本家」の居酒屋が最近は低調だが、その代わりに「仕事帰りにちょっと一杯やりたい」というサラリーマンの需要をとらえたもので、外食産業内で顧客の奪い合いの様相も見せている。

  • 「ちょい飲み」に外食産業が続々参戦(画像はイメージ)
    「ちょい飲み」に外食産業が続々参戦(画像はイメージ)
  • 「ちょい飲み」に外食産業が続々参戦(画像はイメージ)

「日高屋」は駅前立地を生かす

   「日本人は世界的に見てかなりアルコールに弱い」(ビール大手幹部)というのが定説だ。「酒はそれほど強くないけれど、少し飲んで一日の疲れを癒したい」いう需要は根強いようだ。今や国内の外食産業にとって、「ちょい呑み」が一つのジャンルを形成しつつある。

   先鞭をつけたのは吉野家と言っていいだろう。夜間に来店客が減少する状況を何とかしたいと考案したのが「吉呑み」だ。提供する酒はビールやハイボールが一杯300円ほど、つまみも一品300円程度と手頃だ。つまみは牛丼などの具材を流用するので、大がかりな調達・加工が必要ではないことも低価格に貢献する。東京・神田のようなサラリーマンで賑わう街で、宣伝せずに試験導入したところ、次から次へと客が吸い込まれるのに意を強くし、昨年から本格的に展開している。

   1970年代末に中島みゆきさんがリリースした、ファンにはよく知られる「狼になりたい」という歌で、夜明け間際の吉野家でビールを注文するシーンがあるくらいだから、従来から吉野家で「ちょい呑み」する人はそれなりにいた。しかしそれは「そういう客もいるよね」といった程度の位置づけだったが、「いやこれいけるんじゃない?」と、「牛すじの煮込み」などのつまみまで用意したのが「吉呑み」だ。

   吉野家以外でちょい飲み需要の開拓し、業績を向上させている筆頭格はラーメンチェーン「日高屋」を運営する「ハイデイ日高」だろう。2015年2月期(単体)は、売上高が前期比7.6%増の344億円、営業利益が8.3%増の40億円だった。営業利益は12期連続の最高益を記録した。その好業績にちょい飲みも大いに貢献した。

   もともと意識的に駅前に立地する日高屋は、賃料コストはかさむものの、サラリーマンのちょい飲み需要を獲得しやすいアドバンテージがある。昨年からラーメン以外の「イワシフライ」「生キャベツ」など、つまみメニューの充実を本格化させた。酒もビール中ジョッキが300円程度でもともとお値打ち価格だったが、「ホッピー」やサワー類など、300円を切るアルコールメニューも充実させた。最近では、本当に居酒屋代わりに3~4人連れのサラリーマンが訪れることも珍しくないという。今年4月には埼玉県に新たな形態のトンカツ店をオープン。これもただのトンカツ店ではなく、夜間は酒とつまみを出す店に変身するもので、顧客の反応を見ながら本格展開を探る方針だ。

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