「生産と在庫バランスよくない」ことで価格の下落幅が大きくなりやすい
シャープの液晶テレビの平均単価が低い理由について、前出のBCNのアナリスト、道越一郎氏は「液晶テレビ事業では4Kへのシフトを進めていますが、他社と比べて一気にシフトできないところがあります」と話す。
シャープは、液晶テレビ全体ではトップシェアを誇るものの、4Kテレビの販売台数の構成比をみると、50型以上は83.1%あるが、40型台は16.9%しかない。これに対して、ソニーの40型台の構成比は47.6%、パナソニックが55.7%、東芝でも46.9%を占めている。道越氏は「4Kの主力はいまや40型。シャープは他社に比べて小型化で遅れをとったため、売れ筋のこの層を取りこぼしています」と指摘。これが4Kモデルの構成比が伸び悩んでいる要因の一つとみている。
また、液晶テレビ全体に占める4Kテレビの割合でも、他社が10~25%を占めている中で、シャープだけが7.6%と唯一1ケタ台にとどまっている。
半面、シャープは低価格で利益率の低いHD以下のモデルの構成比が5割を超える状況が続いている。道越氏は「シャープはHD以下モデルの割合が大きいことが足かせとなって、4Kモデルへの転換に時間がかかっているのではないか」と推察する。価格の安いHD以下のモデルの価格が4Kテレビの登場で下落しているうえ、その4Kテレビの価格もHD以下のモデルに引きずられて値下がりしている可能性がある。
「生産と在庫のバランスがあまりよくない」ことが、販売価格の下落幅が大きくなりやすい要因との指摘もある。
そうしたなか、大手家電量販店を覗いてみると、主力である40インチ台の4Kテレビの価格は20万円を割り込み、勢い10万円前半の攻防になってきている。
ある家電量販店は、「夏のモデルチェンジもありますから、ちょうど(価格は)下がりやすい時期なんです」と話す。「4Kモデルでもいろいろありますから、単純には比較できません」というが、そんな中でシャープ製は40インチ台で15万9000円、11万7000円と、ソニーやパナソニックと比べてやや安いようにもみえる。シャープは6月30日に4Kテレビの新商品を投入する。別の家電量販店は「どこも在庫を残したくありませんから、その影響はありますよ」と話す。