液晶テレビの販売が回復基調に乗りはじめた。なかでも、フルハイビジョンの4倍の解像度をもつ高画質の「4Kテレビ」が売れている。
一方、平均価格は最近の1年で約4割下落して、20万円を割っているケースは少なくない。大手家電量販店では、「だいぶ買いやすく、値ごろ感が出てきています」という。
「4K」の主力は40~50インチ超の大型テレビ
調査会社のBCNによると、2015年5月の液晶テレビの販売台数は、高精細な4Kテレビが市場をけん引していることを背景に、前年同月と比べて17.9%増えた。販売金額も22.2%増で、2か月連続のプラスだった。
なかでも4Kテレビは、液晶テレビ全体の販売台数に占める割合が4月に7.5%、5月が11.1%と、初めて1割を超えた。販売金額でも4月が25.9%、5月は32.5%とこちらも初めて3割に乗せて、売り上げに勢いがついてきた。
また、このところ10%前後で推移していた50型以上の大型モデルの販売台数の構成比が、5月には14.0%と過去最大を記録。しかも、50型以上の大型テレビに占める4Kモデルの販売台数の構成比は、ほぼ半数の47.2%まで拡大。「大型なら4K」の流れが鮮明になってきた。
もともとHDモデルなどに比べて高価で、主力が40~50型超の大型の4Kテレビの販売が好調なことから、販売金額ベースでも液晶テレビ全体の平均価格を押し上げている。3年前の2012年は5万円を割り込んでいたが、15年5月では6万5500円と6万円台半ばまで回復。販売台数と金額の両面で市場に回復の兆しがみえてきた。
BCNのアナリスト、道越一郎氏は「とくに4Kテレビは、2015年に入ってしばらく足踏み状態が続いていましたが、4~5月で再び拡大トレンドが鮮明になりました」としている。
そうしたなか、液晶テレビ市場をメーカー別にみると、市場をけん引しているのは、15年5月の販売台数シェアが18.1%で2位のソニー。14年5月以降、13か月連続で前年実績を上回っており、この5月も販売台数はほぼ倍増の勢い。販売金額では3年前の1.8倍の水準にまで売り上げを拡大させており、回復の足どりは力強い。
平均単価は9万5700円と、シャープやパナソニック、東芝の主要4社では最も高かった。
ソニーの液晶テレビに占める4Kモデルの販売台数の割合は24.7%と唯一2割を上回っており、販売金額では51.4%とじつに半数を超えている。
一方、液晶テレビで38.1%のトップシェアをもつシャープは、伸び率ではソニーほどではないものの、5月の販売台数は前年同月比で8.1%増とプラスに、販売金額も18.3%増と2ケタ増を達成した。
ただ、平均単価は6万1100円と主要4社の中で最も安かった。