国産「地ウイスキー」ブームがやってくる 静岡市などの小さな蒸留所が「新規参入」

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「地ウイスキー」メーカー、現在10社 「地元でしか飲めない」ほどの人気

   国産ウイスキーの蒸溜所は、まだまだ珍しい。帝国データバンクの「地場系ウイスキーの実態調査」によると、「地ウイスキー」メーカーは10社にとどまる。しかも、ウイスキー専業となると数えるほどしかなく、多くは総合酒類メーカーとして焼酎や清酒を主力製品としつつ、ウイスキーの製造、販売も手がけているのが実態だ。

   国内のウイスキー市場は、1989年の酒税法改正に伴う2級ウイスキーの大幅値上げで、それ以降、長い低迷期に入った。

   その一方、大麦麦芽(モルト)のみを原料とするシングルモルト・ウイスキーが隠れたブームになり、市場はジワジワと上向き、2008年からのハイボール人気で一転した。これに「マッサン効果」が加わって、最近ではサントリーやニッカなどの商品の一部にはプレミアムがつく事態となっている。

   そうしたことから、近年は小さい規模ながらも世界的な知名度を誇るメーカーも登場している。戦間期に洋酒製造免許を取得した老舗の「江井ケ嶋酒造」(兵庫県明石市)は、5年貯蔵の「シングルモルトあかし」や年2回のシングルカスク(ひとつの樽から瓶詰めしたウイスキー)も品薄という。

   また、2008年に埼玉県に秩父蒸留所を設立した「ベンチャーウイスキー」は、国内唯一のウイスキー専業メーカーで、そこで造られる「イチローズ・モルト」はいまや世界的な名声を博していて、「秩父のショットバーでしか飲めない」と評判だ。

   2011年にモルト原酒の蒸留を19年ぶりに再開した、鹿児島県の「本坊酒造」の「マルスウイスキー」のシングルモルトは、ワールドウイスキーアワード(WWA)2013ブレンディッド・モルト部門でワールドベスト賞を受賞するなど、欧米での評価も高い。

   同社は「いまやグローバルな視点からもウイスキーのニーズは高まっています」と話し、今後は輸出を本格化していく。

   「クラフトウイスキー」といわれる、小規模蒸溜所で造られるウイスキーは、世界のウイスキー業界で最近の新たなトレンドともいわれている。蒸留後、最低3年の貯蔵と熟成が必要なウイスキーは投資から回収までに長い時間を要するビジネスだが、地ビールのような、小さな蒸留所の「地ウイスキー」がいまのウイスキーブームをさらに息の長いものにするかもしれない。

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