出勤を早くして退庁後の時間を満喫する、という働き方「ゆう活」が国家公務員を対象に始まった。しかし膨大な仕事量を抱える職員たちは、すんなり定時に帰れる訳もなく、政府が呼びかける「生活を豊かに」という思惑通りに進んでいない。
本来であれば17時過ぎには多くの職員が退庁しているはずなのだが、夜になっても霞が関の各庁舎は煌々と明かりが灯っているようだ。
首相は「ゆう活」で美術館訪問
ゆう活は「夕方」の時間を使って、家族と過ごしたり、遊びに行ったりして「生活を豊かにしていく」という考え方からネーミングされた。2015年7月1日から国家公務員の間で率先する形で実施されている。海外のサマータイムにならい、7、8月の2か月間導入する。
この間、通常より1~2時間早い7時30分や8時30分から勤務を始め、終業時刻を16時15分から17時15分にすることが基本となる。内閣人事局によると、霞が関の本庁勤務の職員のほか、地方の出先機関で働く職員を含む、約22万人がゆう活の時間帯に合わせて仕事をする。
安倍晋三首相自身も1日、率先してゆう活を取り入れた。夕方には仕事を終え、都内の美術館を訪問。取材陣には「人生が豊かになった気がする。みなさんにもゆう活を生かして人生を楽しんでもらいたい。長時間労働を変えていきたい」と話した。
とはいえ、膨大な事務作業に追われる国家公務員たちは、想定通りに夕方からの時間を楽しむことは難しいようだ。
ツイッターを見ると
「0730出勤したが、結局今日は1615に退庁できなかった・・・」
など、職員によると思われる書き込みがある。21時ごろになっても霞が関合同庁舎の明かりが煌々としていた、という報告もあった。