歳出抑制は「目安」で妥協、膨張の懸念も 政府「骨太の方針」を閣議決定

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あちこちの顔を立てる

   稲田氏も民間議員の提案を「当てにならない成長を当てにした雨乞い」と痛烈に批判。委員長を務める自民党の財政再建に関する特命委員会で、歳出額の目標設定を求める提言をとりまとめ、安倍首相に提出した。

   これに対し、歳出抑制で景気が下押しされる事態を懸念した甘利氏は「税収の伸びと無関係に歳出削減額を決めるべきではない」とけん制。3者とも譲らず、調整は6月22日の経済財政諮問会議直前までもつれ込んだ。

   稲田氏がまとめた提言は党議決定されて首相の手に渡っており、甘利氏もまったく考慮しないわけにはいかない。そこで、落としどころとして採用されたのが、安倍政権が過去3年間で一般歳出の伸びを1.6兆円、うち社会保障費の伸びを1.5兆円に抑えた実績を踏まえ、「2018年度までその基調を継続する」と書き込むことだった。金額が明記されたことで、麻生、稲田両氏の主張を取り入れたことになる。ただし、歳出抑制額はあくまで目標ではなく「目安」と位置づけ、甘利氏の顔を立てた。

   素案の提示後、甘利氏も稲田氏も上機嫌だったが、計画はまさに玉虫色となり、1.6兆円の「目安」がどれほどの効力を持つのかは不明確になった。財務省は毎年の予算編成過程で「目安」を一定の歯止めにしたい考えだが、景気回復に伴う税収の上ぶれをあてにして、与党内では既に歳出圧力が高まっている。財政再建の道筋は依然、不透明のままだ。

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