歳出抑制は「目安」で妥協、膨張の懸念も 政府「骨太の方針」を閣議決定

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   政府は2015年6月22日の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で、2020年度までの財政健全化計画を盛り込んだ「骨太の方針」の素案を提示し、30日、閣議決定した。

   歳出抑制額の目標を盛り込むかどうかをめぐり、甘利明経済再生担当相と麻生太郎副総理兼財務相、稲田朋美・自民党政調会長が激しいつばぜり合いを演じたが、目標ではなく歳出抑制額の「目安」を書き入れることで決着。計画はそれぞれの顔を立てた妥協の産物となり、「目安」が歳出膨張の歯止めとなるかは見通せない。

  • 財政再建の道筋は依然、不透明のまま(2015年5月撮影)
    財政再建の道筋は依然、不透明のまま(2015年5月撮影)
  • 財政再建の道筋は依然、不透明のまま(2015年5月撮影)

「経済再生なくして財政再建なし」の基本方針

「(財政健全化計画は)私の主張そのものだ」(甘利氏)
「党の提言をきちんと受け止めて作っていただけた」(稲田氏)

   素案公表後、別々に記者会見した甘利氏と稲田氏は、財政健全化計画に自らの主張が反映されたと胸を張った。

   計画策定当初、甘利、麻生、稲田の3氏は「経済再生なくして財政再建なし」との基本方針や、消費税率10%超への引き上げを封印することでは一致していた。足並みが乱れ始めたのは、甘利氏が所管する経済財政諮問会議の民間議員が、政府の試算を上回る税収増によって財政再建を進める方針を打ち出したことがきっかけだった。

   麻生氏は、民間議員の税収増の見通しを「楽観的すぎる」と批判する意見書を経済財政諮問会議に提出。税収増に過度に依存するのではなく、歳出抑制を中心に据えた計画にするよう主張した。経済財政諮問会議では、財政健全化の指標である基礎的財政収支を2020年度に黒字化するという従来からの目標堅持が早々に決まり、2018年度に赤字幅を国内総生産(GDP)比1%程度に縮小する「中間目標」を設定する方針も固まっていたが、麻生氏の意見書は「さらに具体的な目安が必要」と歳出額の目標も設定するよう求めるものだった。

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