日本の物価、ひいては経済全般に大きな影響
それ以上に、中東の政情不安という問題もある。サウジは3月に隣国イエメンの反政府組織を狙った空爆を開始し、反政府組織を支援するイランとの間で非難の応酬が続いている。作戦が長期化すればサウジの戦費がかさんで原油増産が必要になると予測する向きがある一方、サウジの増産余力は限られるとも言われ、先行きの見通しを難しくしている。
OPEC非加盟国の動向も読み切れない。筆頭格のロシアは生産を増やしていて、5月の生産量は日量1070万バレルを超え、ソ連崩壊以降で最高水準に迫っている。欧米の経済制裁と原油安による財政悪化にあえぐロシアが一段の増産に走れば、国際市場の大きな波乱要因になる。
そしてなにより、イランの核開発問題の行方が、最大の不確定要素として待ち構える。米欧など6か国との協議で最終合意に至れば、経済制裁が解除されて石油輸出が可能になる。イランのザンギャネ石油相は、制裁が解除された場合、「1か月以内に日量50万バレル、半年で同100万バレルを増産する」と明言しており、供給過剰に拍車がかかる懸念がある。イランは他のOPEC加盟国にイラン増産分への配慮を求める見込みで、「遠からずOPECの調整力が問われる局面がくるだろう」(国際通商筋)との声も聞こえる。
原油価格の動向は円相場とともに、日本の物価、ひいては経済全般に大きな影響を及ぼすだけに、日本としてもOPECなどの動向から目が離せない。