東電福島第一原発の廃炉工程表、2年ぶり改定 燃料取出しは最大3年遅れ、予定通り進むのか

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労災事故も増える

   今回の改定は、準備段階のがれき撤去に時間がかかって工程が遅延した上、汚染水漏れや放射性物質の飛散などのトラブルが相次ぎ、作業員の労災事故も頻発したことを受けてのもの。スピード重視の無理のある工程を優先した結果、現場に負担をかけ、逆に遅れを招いたとの反省がある。

   だが、地下水流入の抑制一つとっても、試験している凍土壁がうまく機能し、くみ上げた地下水を処理して海に放出する計画が実現するかは不透明だ。膨大なタンク群にたまっていた汚染水の処理は東電が5月に「完了」と宣言したが、今の処理装置では除去しきれないトリチウム(三重水素)に汚染されたまま今後もタンクにたまっていく。

   燃料デブリに至っては、格納容器がどこにあるかさえ未だはっきりしない。引き続き調査ロボットなどで情報を集めることになるが、新工程表の2018年度工法確定という日程は、「決して簡単ではない」(経済産業省関係者)。廃炉作業の技術開発は、国の認可法人「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が司令塔になるが、その技術系スタッフは35人程度しかいないなど、体制の心もとなさを心配する向きもある。

   作業員の確保という課題も重くのしかかる。現在、1日平均で2年前の2倍を上回る7000人規模の作業員が働くが、その分、経験や技量の乏しい者が増えている。東電によると、2014年度に福島第1で労災事故に遭ったのは64人と、前年度から倍増し、作業経験半年未満が半数を占めたという。作業員の被曝線量は5年で100ミリシーベルト以下と定められているが、ベテランになるほど高くなる傾向があり、現場をまとめるリーダーや熟練作業員が足りなくなるおそれも指摘されている。

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