ジャイアンツの青木宣親が故障者リスト入り(2015年6月24日)。
オールスター戦の出場が危うくなっただけでなく、後半戦も好調を維持できるか、小さくて大きな負傷である。
監督も「大きな戦力ダウン」
「右足腓骨の亀裂」
これが戦列離脱の原因である。15日間の故障車リスト(DL)入りで、故障した翌日から適用され、7月6日に復帰できる日数だ。
死球を受けたのは20日のドジャース戦。直後のX線検査では「異常なし」だった。だから23日のパドレス戦では「1番・レフト」で先発出場とされていたのだが、試合前の練習で異変が起きた。
「急に足を引きずるような感じになった。それで、試合は無理、と判断し、監督に伝えた」
その後、再度X線検査をしてみると、横に線状の亀裂が写った。角度によっては分からないほどだったという。
「意外な結果だったので驚いている。今はとにかく休むことで、骨が付くまで安静にしたい」
青木は無念そうだった。
そうだろう。青木は今シーズン、昨年のワールドチャンピオンのジャイアンツに移籍。リードオフマンとして活躍してきた。67試合で83安打を放ち、3割をマークしている。
2連覇を狙うボウチー監督は頭を抱えている。
「大きな戦力ダウン」
と言うほどで、夏場からの戦いに支障が出ることを懸念している。
走ることができない
青木がもっとも悔しがっているのはオールスター戦(7月14日、シンシナチ)の出場が怪しくなったことである。離脱時点ではナ・リーグ外野手のファン投票で4位につけており、16日の中間発表では3位だった実績もあり、最終集計ではファン選出の可能性もあった。
大リーグでのファン投票による選出は「大リーガーの夢」の一つ。そんなチャンスはなかなかない。今季のような好調、さらに33歳という年齢を考えたとき、なおさらである。
個人記録ではシーズン200安打の希望もあった。これは無理だろう。さらに心配されるのは、復帰した後も好調を維持できるか、という不安が重なる。
足だけに走ることは当分できない。下半身が弱るからトレーニングに時間がかかる。コンディション調整が難しく、体力勝負の夏場を乗り越えるのが大変になることが予測できる。完全に治し、万全の状態でカムバックすることを臨む。
ほんの小さなヒビだが、実はいろいろな意味で大きな故障なのである。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)