読売・日経は3面で短く発言を報じる
読売・日経の夕刊1面トップは日韓関係に関するもので、阪田氏の発言はそれぞれ3面に掲載。両紙ともに2つの論点を短く伝えている。
「集団的自衛権の限定行使に一定の理解を見せたが、ホルムズ海峡での機雷掃海については『従来の政府解釈の基本的な論理の枠内とは言えない』と指摘した」(読売)
「集団的自衛権の『限定行使』に一定の理解を示しつつ、経済的危機のみで行使することは『従来の政府見解を明らかに逸脱している』と批判」(日経)
池上氏は、こういった各紙のトーンの違いについて
「阪田氏の発言は新聞によってニュアンスが異なり、朝日、毎日、日経、読売の順に、発言は厳しいものから緩やかなものへと変化します。同一人物の発言のトーンが、これほど違っているのです。この並びは、安全保障関連法案に対する社の態度の順番とほぼ一致しています」
と指摘し、
「社としての意見はあるにせよ、記事が、それに引きずられてはいけません。どのような発言があったのか、読者に正確に伝えることで、読者が自ら判断する材料を提供する。これが新聞の役割ではありませんか」
などとクギをさした。
新聞業界では何らかの切り口から事象を取材して記事を書くことを「角度をつける」と表現することがあるが、池上さんの今回の指摘は、「読者に正確に伝えること」の重要性をあらためて強調した形だ。
池上氏のコラムで論評の対象になったのは、各紙の東京本社が発行する夕刊の最終版だ。首都圏で夕刊を発行していない産経新聞は、阪田氏の発言を6月23日朝刊で
「中東・ホルムズ海峡での機雷掃海は枠外だとしつつ『限定的行使が従来の憲法解釈と論理的に全く整合していないものではない』と述べ、法案に一定の理解を示した」
と報じている。