日本人2人含む捕虜を残虐な方法で殺害してきたことで悪名高い過激派組織「イスラム国」(IS)関連組織が新たな殺害動画を公開し、世界を震撼させている。
イラク人の捕虜を閉じ込めた檻ごとプールに沈めたり、爆発物を首に巻き付けて爆破したりするなど、これまでになく残虐非道な内容だ。
捕虜は全員オレンジ色の服を着る
IS側は、2015年6月中旬には捕虜を「はりつけ」にして殺害する動画を公開したばかり。
今回の動画は6月23日に公開された。長さは7分30秒程度で、3つの殺害シーンが収録されている。捕虜は全員男性で、これまでISに処刑された捕虜と同様のオレンジ色の服を着せられている。
動画は、いきなり目を背けたくなるシーンで始まる。がれきの中から焼け焦げた人の腕を拾い集めたり、毛布にくるまれた遺体が運び出されたりするシーンだ。顔から血を流す老人や子どもが映し出される。米国主導の有志連合がISの支配下にあるイラク北部の都市、モスルを空爆したことで、市民にも犠牲者が出たことを強調する狙いがあるとみられる。
モスル空爆で爆撃対象を米軍側に教えた容疑
ひとつめの殺害シーンでは、3人の捕虜を車に閉じ込め、離れた場所からロケット砲が打ち込まれる。たちまち車は炎に包まれ、車内からは悲鳴があがる。
二つ目のシーンでは、5人の捕虜が金属製のおりに閉じ込められる。おりはクレーンで持ち上げられ、そのままプールに沈められる。おりが完全に水中に沈むと映像は水中カメラからのものに切り替わり、うめき声とともに苦しむ様子が映し出される。ほどなくおりは引き上げられ、口から泡を吹く人の姿がクローズアップされる。
3つめのシーンでは、捕虜7人を横1列にひざまずかせ、ロープのようなものが首に巻き付けられる。直後にロープが爆発し、粉々に飛び散ってしまう。爆発シーンは少なくとも5回以上繰り返される。
捕虜には、モスル空爆で爆撃対象を米軍側に教えた容疑がかけられていた。殺害シーンの前には、捕虜がスパイ行為を「自白」させられる様子も収められている。
ISは、14年6月末に「国家」樹立を宣言。「1周年」を前に、残忍な映像で恐怖心を植えつけ、スパイ活動をけん制する狙いがあるとみられる。