業界の先頭を走る変身
一方、Jフロントが再開発中の松坂屋銀座店跡地(東京都中央区)は、「松坂屋」の看板を掲げない新たな商業施設を目指している。また、建て替え中の松坂屋上野店(東京都台東区)は、グループ入りしたパルコを入居させる方針で、もはや百貨店とは言えない店舗となる見込み。地域一番店だった松坂屋名古屋店の変身も、グループの「脱・百貨店」への新たな改革の一環と言える。
訪日外国人増加の恩恵を受ける全国百貨店売上高は5月、前年同月比6.3%増と2か月連続で前年を超え、好調だ。しかし、長期的に見ると全体としてピーク時の6割程度に落ち込んでいるのも事実で、今後は少子高齢社会の本格化も待ち受ける。
「訪日外国人効果があるうちに手を打たなければ将来のじり貧は避けられない」との見方は流通業界全体では多いが、百貨店業界に限れば腰は重く、松坂屋の変身は業界の先頭を走る。消費者の反応はどう出るか、答えが出るのはそれほど先のことではない。