新たな顧客層を開拓
一方、名駅地区で業績を伸ばす新参者が高島屋。JR東海と組んで名古屋駅に直結する「JR名古屋高島屋」を2000年にオープン。市内では最新の百貨店だ。
立地の良さから顧客を引き寄せて年々売上高を伸ばし、2014年度(2015年2月期)には、長く「名古屋一番店」の座を守ってきた松坂屋名古屋店を抜き去り、初めて首位に立った。売上高は高島屋が1260億円で、松坂屋を約4億円上回った。2014年暦年(1~12月)は「お得意様」に店舗外で販売する「外商」がものを言う歳暮商戦で地力を発揮した松坂屋が5億円差で首位を守ったが、健闘もそこまでだった。
松坂屋としては、巻き返しのために大規模な改装を計画しているが、そんな通常の施策を超えた起死回生策として打ち出したのがヨドバシの入居というわけだ。栄地区に家電量販店がないことも後押しした。
記者会見した松坂屋名古屋店の加藤俊樹店長は「ヨドバシに年間500万人来るであろう客は今まで松坂屋に来たことがない人が半分だと思う」と述べ、新たな顧客層を開拓できるとの見方を強調した。「ヨドバシの丁寧な接客も評価した」という。
もともとヨドバシは、名駅の高島屋に隣接するJR東海主導の新設商業ビルに入居予定だったが、契約トラブルでヨドバシがキャンセルし、そこにビックカメラが入ることになった経緯もある。ヨドバシにとっては意趣返し的な意味合いもある。