2015年6月25日午前6時半頃、東急田園都市線たまプラーザ駅の上りホームで中央林間駅発久喜駅行きの急行電車に中学3年の女子生徒がはねられ、死亡した。田園都市線は事故の影響により一時全線で運転を見合わせていたが、午前8時ごろに運転を再開した。
一方、事故原因をめぐりネット上では、歩きながらスマートフォンを操作していた女子高生が線路に転落して電車にはねられた、という情報が拡散されている。これについて、神奈川県警や東急電鉄は「現時点でそのような情報は把握していない」と回答している。
いくつものまとめサイトがツイートを転載、拡散する
情報拡散のきっかけは、現場に居合わせたとみられるツイッターユーザーが「女子高生が亡くなったようだ」と報告したことだ。
しかし、これが何千回もリツイート(拡散)されるうち、「歩きスマホ」という根拠不明の要素が付け加えられ、いつの間にか「歩きスマホでホームから転落した女子高生が事故死した」話として広まっていたようだ。
すでに関連ツイートの多くが削除されているため情報源を確かめられないが、
「歩きスマホして落ちたそいつが悪い」
「歩きスマホ、本当に危ないんですね」
とつぶやくユーザーも見られ、ある程度事実として受け止められている。さらに、いくつものまとめサイトがこれらのツイートを転載、「歩きスマホで転落」などと断定的な見出しで伝えた。
ちなみに、友達がホーム上で号泣する様子や歩きスマホの女性がホームから転落する様子を目撃したという証言は今のところ出ていない。
事故の原因は本当に歩きスマホだったのか。J-CASTニュースの取材に対し、神奈川県警は「そのような情報はまだ把握していない」、東急電鉄も「現場からの情報によると、歩きスマホが原因だったという情報は入っていない」と語っている。
女子生徒はホームから小走りで電車に飛び込んだとの目撃情報もあり、自殺の可能性もあるという。
歩きスマホで線路に転落した例はある
とはいえ、歩きスマホによるホームからの転落事故がないわけではない。
14年10月30日付け中日新聞電子版によると、同日、名古屋市営地下鉄鶴舞線御器所駅で電車到着直前に市内の中学1年の男子生徒(13)が「スマートフォンの操作」が原因で線路に転落した。電車は転落場所を30メートルほど通過したものの、中学生はホーム下の空間に逃げ込んで無事だったという。
また、今回の事故にからめて歩きスマホの危険性を啓発する私鉄もあった。歩きスマホがツイッターの「トレンドワード」となっていた6月25日10時頃、阪急電鉄の公式アカウントが「『歩きスマホ』は、本当に危険ですからおやめ下さい」「スマホは、人の流れの妨げにならないところで、止まって確認」と呼びかけていた。