サントリービールが1986年から販売しているスタンダードビールの「モルツ」を終了して、新たに味わいやパッケージを一新した「ザ・モルツ」を、2015年9月8日に発売する。
サントリーのビールブランドは、この「ザ・モルツ」と、売れ筋の高級ビール「ザ・プレミアム・モルツ」、「醸造家の夢」と名づけたスーパープレミアムクラスの「~ザ・プレミアム・モルツ~ マスターズドリーム」の「3本柱」で、ビール市場の活性化を目指す。
「プレモル」より40円安く、30~40歳代に照準
サントリーは「ザ・モルツ」の発売に、「ビールの主力市場であるスタンダードビール市場に、強いブランドを確立したい」と力を込める。
スタンダードビールは、アサヒビールの「スーパードライ」やキリンビールの「一番搾り」、サッポロビールの「黒ラベル」などの強力ブランドがしのぎを削る激戦市場。その半面、高級ビールや第3のビールに押されて、市場の縮小が顕著でもあった。
サントリーもこれまで、高級ビールの「ザ・プレミアム・モルツ」と第3のビールの「金麦」に注力しており、スタンダードビールは手薄だった。現行のモルツが発売から29年が経過していることから、中味もパッケージも一新してシェアの拡大に向けて「攻め」に転じる。
最近は消費者がビールに求める価値も、ビールがもつ「味わい」を楽しむように変わってきている。そのため、高級ビールが主力を形成し、市場では50歳代以上が6割超を占めるようになった。そうした中で、ザ・モルツは30~40歳代に照準をあわせた。
「ビール市場で、スタンダードビールは全体の4割超を占める、まだまだ主力のマーケットなんです」とサントリーはいう。
「ザ・モルツ」の店頭想定価格は、350ミリリットル缶で220円(税込)。主力の高級ビール「ザ・プレミアム・モルツ」より40円安く、「スーパードライ」や「一番搾り」などと足並みをそろえた。
「ザ・モルツ」は、年内(9~12月末)に200万ケース(1ケースは大瓶20本換算)、2020年には年間1000万ケースの出荷が目標。「ザ・プレミアム・モルツ」や「金麦」などとあわせて、2014年に15.4%だったビール市場に占めるシェアを20%にするのが目標だ。