韓国・中国勢の追い上げが激しい
実際、世界でのシェアを見ると、首位ブリヂストン、2位仏ミシュランが約15%で争うのに対し、かつて2社と拮抗していたグッドイヤーは徐々に引き離されて10%を割り込むまでに低迷。住友ゴム自体のシェアも4%程度と大きく水をあけられているが、これは北米での売上高が全体の約1割と、米州で半分を稼ぎ出すブリヂストンなど他社に引き離されているのも一因で、その意味でも、北米での独自の事業展開に縛りがかかるグッドイヤーとの提携は、むしろ足かせになっていた面がある。
住友ゴムの池田社長は会見で、「欧米や新興国で、より自由にビジネスができるようになる」と語った。欧州ではファンケルブランドを売り込んでいくことになるが、より重視するのは「確実に伸びていく新興国でシェアを獲得していく」(池田社長)ことだ。すでに2013年にブラジルで新工場を稼働し、今年夏にはトルコでも合弁生産を始めるなど、戦略投資を進めている。
ただ、新興国での韓国・中国勢の追い上げは激しい。韓国の「ハンコック」は世界シェア9位から7位に順位を上げてきており、中国の「正新」と「中策ゴム」もトップ10に食い込んできた。中国国営企業グループ「中国化工集団」が2015年3月、世界5位の伊ピレリを約70億ユーロ(約9170億円)で買収というビッグニュースもあった。「新興国メーカーが日系メーカーを買収しても驚かない」(業界関係者)との声もあり、今回の日米大手の提携解消は、新たな世界を舞台にした業界再編の呼び水になる可能性もありそうだ。