中編小説「火花」が三島由紀夫賞に続き芥川賞にノミネートされた、お笑いコンビ「ピース」又吉直樹さん(35)。発表から一夜明けた2015年6月20日のイベントでは、報道陣から芥川賞に関する質問が飛び交った。
情報番組「とくダネ!」(フジテレビ系)の取材スタッフからは、「候補作になった今の気持ちを俳句で」という「無茶ぶり」も。一連のやりとりは22日放送の同番組内で紹介された。
又吉も苦笑しながら反撃
又吉さんはこの日、俳人の堀本裕樹さんとともに共著「芸人と俳人」の刊行記念イベントに出席した。芥川賞ノミネートが発表された翌日ということもあり、報道陣からは現在の心境や自信の程についての質問が次々飛んだ。そうした中、「とくダネ!」の取材スタッフは俳句入門書の刊行イベントということに絡めて、
「ノミネートされたというお気持ちを俳句、五・七・五で詠んでいただいてよろしいでしょうか?」
と投げかけた。周囲から笑いが起きる中、又吉さんは「いやそれは...、あの...」と苦笑しつつ、
「お言葉を返すようですが、『1600字でこの状態を記事にして下さい』というのとほぼ同じことですよね?」
と反撃。だが同スタッフは「あー」と理解を示しつつも「挑戦してみるっていうのはどうですか?」となおも食い下がった。これに又吉さんは「一時間もらえますか?歳時記ちょっと持ってくるんで」と切り返した。
実は同番組が又吉さんに「無茶ぶり」をしたのは今回が初めてではなかった。又吉さんは三島由紀夫賞の選考会が行われていた5月14日、都内で川柳コンクールの表彰式に出席。イベントの最中に落選の報が届くと「とくダネ!」取材スタッフは、その後の囲み取材で「受賞を逃してしまった今のお気持ちを川柳で表すことは可能でしょうか?」と尋ねていた。
やんわり断る又吉さんに「一斉にメディアに報じられると思うんですけども?」と畳みかけたが、又吉さんは「いや、それが一番傷つきますわ!」とつっこんでいた。
番組ブログでは「3度目の正直でまたお願いする」
VTR後、木下康太郎アナウンサーが「とくダネ!のお願いを2回連続でスルーされてしまったわけなんですが...」などと振り返ると、司会の小倉智昭さんは、
「川柳でって言った時には芸人さんの気持ちでシャレでやってくれればいいのにね。もう本人完璧に小説家になってますよね」
と皮肉交じりにコメントした。
放送を受け、一部からは「芸人だけじゃなくて俳人もバカにしてる気がした」「ストリッパーに、ここで脱げと言ってるのと同じ事なのだ。プロの仕事バカにするな」といった声も出ているが、22日の「とくダネ!」公式ブログでは、
「又吉さん、芥川賞とってもとらなくても、とくダネ!は必ず3度目の正直でまたお願いしますから、次の機会に是非! よろしくお願いします!」
と、また即興をお願いすることを宣言している。一部視聴者や又吉さんのファンからは反感を買ってしまったが、「とくダネ!」ブログによれば、イベントでの俳句オーダーはあくまで「その場にマッチするウィットに富んだお願い」という認識だったようだ。