豪快な取り口で知られた元大関の貴ノ浪(音羽山親方)が2015年6月20日、急性心不全で亡くなった。
43歳の若さだった。現役時代は「横綱確実」と期待されたが、波乱との闘いでもあった。
魁皇と似ている力士
貴ノ浪は貴乃花、若乃花の「若貴時代」がブームとなった昭和から平成にかけて活躍した力士だった。そのころ、大相撲の専門家に、彼の素質を聞いたことがある。
「貴乃花、若乃花よりも強い」
「間違いなく横綱」
大方の相撲担当記者も同じような話をしていたことを思い出す。それほど稽古場では力を見せていたことになる。
実は、貴ノ浪は若貴の兄弟子である。1987年春場所がデビューだが、若貴の父親でもある当時の二子山親方に素質を見いだされて入門。身長190cmを超える大型だった。
だれもが認める力を発揮、94年初場所後に大関昇進。しかし、綱には届かなかった。出世という意味では期待にそえなかったといえた。魁皇と似ている力士だった。