FIFAの汚職事件をめぐり、新たな疑惑が次々に浮上している。2018年ロシア、22年カタールで開催されるワールドカップの招致活動をめぐって、スイスの司法当局はマネーロンダリングの疑いがある銀行取引53件のデータを入手したと発表した。またアフリカ・サッカー連盟の会長がカタールの関係者から金銭を受けたことも明らかになった。
これまでFIFAは開催地の変更はしないとしてきたが、幹部の1人が両大会の招致活動で不正が明らかになった場合は、取り消しになることを示唆。22年大会に立候補していた日本での代替開催はありえない話ではなくなってきた。
FIFA幹部が開催国変更の可能性を示唆
2015年6月17日、スイスのラウバー検事総長は会見で、ロシアとカタール両大会の招致活動をめぐって53件のマネーロンダリング疑惑が浮上していると発表した。チューリヒにあるFIFA本部から押収したデータなどから明らかになったという。
またカタール大会をめぐっては、アフリカ・サッカー連盟のイッサ・ハヤトウ会長が6月16日、フランスの雑誌「ジャンヌ・アフリック」の取材に、同国関係者から連盟宛に180万ドルを受け取ったと明らかにしたと、AFP通信が伝えている。
カタール開催が決まった10年12月の理事会投票に先立つ同年1月、アフリカ連盟の総会でカタールからプレゼンテーションさせてほしいと頼まれたとし、金銭を受け取ったという。ただ、あくまで金銭は連盟が要求したものではないと強調。また投票に際し、推薦などは行っていないと釈明した。
次々と疑惑が深まる中で、開催地の見直しの可能性は高まっている。6月8日、FIFA監査・法令順守委員会のスカラ委員長は「票が金銭で買われたことが明らかになれば、開催を取り消す可能性がある」との見方を示した。FIFA関係者が変更の可能性を示唆したのは、これが初めてだ。
18年大会ではイングランド、22年大会ではアメリカや韓国、そして日本での代替開催の可能性が取りざたされ始めている。
JFAは慎重姿勢だが・・・
もし再投票となった場合、日本は22年の開催に向けて手を挙げるのだろうか。
JFAの大仁邦弥会長は6月8日、報道陣の質問に「(2020年に)東京五輪もあるし、国内事情も考えないと」とコメント。また元FIFA理事で小倉純二名誉会長は9日、まだはっきりしたことは分からないと断り、「現時点ではまだ早すぎるし、もう少し待っていただければ」と話したという。いずれも慎重姿勢だ。
ただ、日本は韓国との共催ながら02年にW杯を開催した実績があり、スタジアムやインフラが充実し、開催コストが低く抑えられるセールスポイントがある。
またロシアやカタールが選出された当時には決まっていなかった、東京五輪の開催も後押しになりそうだ。新国立競技場の建設など、さらにスポーツ関連のインフラが整えば大きな強調材料になるからだ。
すでにJFAは2023年の女子W杯の招致に向けて意欲を見せている。もし実現すれば、2年連続で男女W杯開催もありえない話ではない。