トヨタの「種類株」は買える?買えない? 新たな株式に海外投資家の反応も分かれる

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長期投資の資金に

   トヨタはAA株発行による調達資金を次世代技術の開発などに充てる。投資家に中長期的に保有してもらう代わりに、長い目で見た成長のための資金としたい考えだ。トヨタの個人株主は1割強と日本企業の平均(2割弱)よりやや低い。自動車メーカーは工場建設などの設備投資資金を回収するにはネット企業にはない長いサイクルを必要とする。海外資本の投資ファンドのような四半期の成果に「もの言う株主」の割合を減らし、長く保有してもらうトヨタファンの個人株主を増やしたい、との思惑も透ける。

   ところが、AA株に異論を唱える向きも海外に現れた。投資家に議決権行使を助言する米国の「インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)」は反対を表明。5年間売却せずに保有する安定株主が増えることで、経営陣への市場の規律(圧力)が働きにくくなる恐れがあるとしている。

   米公的年金2位のカリフォルニア州教職員退職年金基金(カルスターズ)も「海外の株主への配慮が不十分」として反対の意向を表明した。カルスターズのトヨタの発行済み株式の持ち株比率は、0.1%程度という。ただ、米国の議決権行使助言会社「グラスルイス」は「将来の事業機会の確保につながる」と賛成の意向を表明しており、海外の反応も一様ではない。

   トヨタにとっては株価が過去最高値水準にあるなか、「これでは買えない」と二の足を踏む個人投資家をいかに増やすかについて、知恵を絞った結果のAA株だ。リスクを嫌う日本の個人投資家に好まれそうな金融商品ではあり、結果が注目される。

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