好調だったDeNAが急降下。セ・パ交流戦で惨敗し、首位陥落にくわえ、貯金をはき出した。
中畑監督は非常事態宣言をしている。
「ナイスゲーム!」が消えた
まさにエンジンが止まって墜落したような格好だった。交流戦の最大の被害者となって日本ハムと対戦した札幌遠征から横浜に戻ってきた。
交流戦前 1位=29勝19敗0分け 勝率.604(2位巨人に2ゲーム差)
交流戦後 2位=32勝33敗1分け 勝率.492(首位巨人に1.5ゲーム差)
DeNAは、交流戦で3勝14敗1分け、勝率.176という惨敗。2015年6月14日の日本ハム戦に敗れて10連敗(1分け含む)のまま終えた。交流戦は12球団の最下位だった。
今シーズンのDeNAは前年までとの弱さがウソのような戦いぶりだった。セ・リーグ首位に立ったのは5月5日。
「ナイスゲーム!」
毎試合のように中畑節が聞かれた。最大貯金は11。交流戦に入ったときは10勝の勝ち越しだった。
打線の活躍が目立ち、その時点で4番の筒香は打率、本塁打、打点のトップ。打率は梶谷が2位、本塁打ではロペスが3位という派手な成績だった。投手陣もクローザーの新人山崎康の力投が注目を集めた。
それが1か月守った首位から陥落。貯金を使い果たし、借金を背負ってしまう有様だった。
「ピンチにもチャンスにも弱い」
「責任はすべて私にある」
中畑監督は貯金を吐き出したとき、悲壮そのものだった。売り物の明るさは消えていた。
「貯金を持って(札幌から)帰りたかったが...。下を向いても仕方がない。目先の1勝を取りにいく」
非常事態宣言である。なりふり構わず戦うというのだ。
中畑監督の変わり様を追ってみる。3日のソフトバンク戦を8回裏に3点を挙げて6-5の逆転勝ち。
「最後まで食らいついていく。8回はウチらしい攻撃だった。ナイスゲームだったね」
翌日、ソフトバンクに0-8の完封負けでセ首位から脱落。「(モスコーソ投手に対し)全く気持ちが入っていない」
7日の西武戦に敗れ、交流戦の最下位に。「頑張るしかない。先は長い」
それから3日後、楽天に負けて6連敗。「ピンチにもチャンスにも弱い。負のムードがある。まだ貯金(3)がある。切り替えていく」
およそ3週間の交流戦。この間にDeNAは天国から地獄に落ちた。交流戦はドラマが多いが、これほど極端なケースはあまりない。
巨人も貯金を大きく減らし、セは戦国時代の様相となった。DeNAはまだチャンスがあるということである。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)