厚労省が安全指針
こうした状況の中、ジビエ料理を出す飲食店はここ数年急増しているという。飲食店のインターネット検索サービスを提供する「ぐるなび」によると、ジビエ料理を提供する全国の飲食店はここ数年、年間2倍程度に増えているといい、同社は2014年末、その年の世相を象徴する「今年の一皿」にジビエ料理を選び、「2014年は、コンビニエンスストアやファストフードなどでもシカなどが食材として使用され、急速に一般消費者の間に浸透した『ジビエ元年』だ」と謳った。今年もさらにジビエ人気が高まると予想している。
ただ、課題もある。狩猟でシカなどを捕獲する際、狙いどころを誤ったりすれば、調理に適さないこともある。病気のシカなどを捕獲して調理した場合は安全上も危険だ。
このため、厚労省は2014年10月、ジビエ料理を安心して食べるための指針を初めてまとめた。「食べても安全だと判断できない肉は破棄する」ことを原則としたほか、銃で狩猟する場合は、胃や腸の内容物が拡散して、肉が汚れる危険があるため、頭や首を狙うことなどを求めている。ジビエ料理を提供する飲食店に対しても、肉を食肉処理業者から仕入れ、生肉は決して提供しないことなどを定めた。
安全に調理して食べれば、食い荒らし被害も減るうえ、消費者にとっては健康面でメリットも大きいジビエ料理。賢く活用することが必要といえる。