シカやイノシシなど野生鳥獣の肉を使った「ジビエ料理」の人気が高まっている。立ち食いスタイルでステーキを提供する新業態の店が増えたり、「熟成肉」の引き合いが強まるなど「肉ブーム」が広がる中、脂肪が少なく、栄養価が高いことなどジビエの特徴が健康に関心の高い人などに受けているようだ。
ただ、安全に食べるためには注意も必要で、厚生労働省も指針をまとめ、取り扱う際の衛生管理の徹底などを呼び掛けている。
野性のシカが200万頭以上生息
ジビエは、狩猟で得た野生鳥獣の肉を意味するフランス語。ジビエ料理は元々、欧州で貴族が楽しんできた高級な伝統料理だ。
日本ではここ数年、そんなジビエ料理への関心が高まってきた。背景にあるのは、シカやイノシシなどが農作物を食い荒らす「食害」被害の全国的な拡大だ。北海道を除く全国で生息しているニホンジカなどは2011年度で261万頭と推定されており、食害の被害額は200億円を上回るとされる。そんな中、おいしく食べることで被害対策につなげようと、「国産ジビエ」の活用が注目されるようになった。
野山を駆け回る野生鳥獣は元々、脂肪分が少なく、シカの場合ならカロリーは牛の4分の1、イノシシでも半分程度という。そのうえ、たんぱく質や鉄分は牛よりも豊富で、美容を気にする若い女性らの間でも関心が広がっている。