石炭火力の建設に環境省が「待った」 新設計画が多すぎる?

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新規計画43基がすべて稼働で、約1億2700万トンのCO2が排出増加

   1990年以降、日本では石炭火力発電を増やしてきた。2011年度の石炭火力の発電量は2400億キロワット時で、90年度の3倍以上になっている。2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」でも、原発の再稼働や新設が見込めない中で、石炭を「重要なベースロード電源」と位置づけた。そんなことから、そもそも石炭火力発電所の新設計画が多すぎる、との指摘もある。

   とはいえ、石炭火力は計画から実際に稼働するまでの期間が10年程度を要する。再生可能エネルギーの太陽光発電(メガソーラー)の1年前後や風力(陸上)の4~5年と比べると、圧倒的に長い。今回、問題となった山口県宇部市の石炭火力発電所も計画では、2025年までに2基を稼働する予定だ。

   その一方で、世界をみれば石炭火力への規制は強まりつつある。たとえば、米国ではシェールガス革命を追い風に、オバマ大統領が2014年6月に発電部門からのCO2排出量を30年までに30%削減。さらにはCO2を回収して貯留する手段(CCS)がなければ、事実上、石炭火力発電は存続できないという厳しい規制案を発表した。

   また2015年6月12日まで、ドイツのボンで開かれていた第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)の準備会合でも、日本の石炭への過度な依存を懸念する声があったという。

   自然エネルギー財団によると、石炭火力は最新型であってもCO2排出量が液化天然ガス火力の2倍以上になるとし、「欧米各国が事実上、新設を不可能にする規制を導入しつつある中で、日本が大量の石炭火力発電の増強を進めれば、世界の温暖化対策に逆行する」としている。

   環境NGOの気候ネットワークによると、2011年以降の石炭火力発電所の新設計画については、新規計画は43基、設備容量2120万キロワットにのぼる。「これらの発電所がすべて建設され、稼働すれば、約1億2700万トンにのぼるCO2が排出される」としている。

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