自動車メーカーの部品調達にも影響
このように、日本でも影響が拡大する中、新たにクローズアップされているのがガス発生剤の「硝酸アンモニウム」自体の問題だ。発生剤にこの薬品を使っている大手エアバッグメーカーはタカタだけとされ、今回の問題が表面化した後も同社は使用を継続。6月2日に米下院で開かれた公聴会では「本当に安全なのか」「警告表示をすべきだ」など、硝酸アンモニウムそのものの安全性を問う声が相次いだ。
タカタは乾燥剤を入れて状態を安定化させたり、一部で他社製の発生剤を使用するなどの再発防止策を実施中と説明するなど、防戦に努めた。しかし、議会側の疑念は解消しておらず、仮に、リコールの際の代替品でも使用されている硝酸アンモニウムが「危険」と認定されれば、影響がさらに拡大する可能性がある。
エアバッグ問題はすでにタカタの経営に大きな影響を与えており、2015年3月期連結決算では一連の問題で特別損失を計上し、当期純利益は295億円の赤字に落ち込んだ。それでもリコール費用の多くを「根本原因が不明」として、いまだに損失計上しておらず、市場では「状況次第で債務超過に陥る」との観測も出ている。タカタはエアバッグで世界シェア約2割を誇っており、問題の継続・拡大はタカタの経営だけでなく、自動車メーカーの部品調達に影響を与えそうだ。