食生活直せば大腸がんのリスクが減る ヒントは和食とアフリカ料理にある

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   住む場所が変われば食生活も変わる。食の欧米化は、腸内環境をも欧米人に近づけていくのかもしれない。

  • わずか2週間でも腸内環境を変えられるかも
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たった2週間で腸内環境が変化

   2014年の米国がん協会(ACS)の調査によると、米国における大腸がんの罹患(りかん)率および死亡率は男女とも、すべてのがんの中で3番目に高い。とくにアフリカ系米国人は白人に比べ罹患率で25%、死亡率では50%も高い。では、アフリカ系の人種は大腸がんになりやすいのかというと、そういうわけでもない。WHO(世界保健機関)による2008年のデータでは、アフリカ系米国人の大腸がん罹患率が10万人に対して65人、これに対し南アフリカ人は10万人に対して5人と、大きな開きがある。

   その理由が両者の食生活の違いにあると考えた米ピッツバーグ大学のスティーブン・オキーフ教授ら研究チームは、50~65歳のアフリカ系米国人と南アフリカ人各20人の腸内細菌叢(さいきんそう)を分析し、内視鏡検査を実施。アフリカ系米国人にのみ9人にポリープが見つかった。その後、それぞれのグループに相手国の食材と調理法を用いた食事を2週間摂取してもらい、同じ検査を行った。

   すると、驚くべき変化が見られた。たった2週間で互いの腸内環境に近づいていたのだ。アフリカ系米国人のグループでは、炎症などがんのリスクとなる因子が減少し、がんの抑制に重要な役割を果たす「ブチレート」が増加していた。一方、南アフリカ人のグループにはその逆のことが起きていた。

   オキーフ教授は「アフリカ系米国人は、普段の食事で食物繊維の摂取量を増やし、動物性の脂肪とたんぱく質を減らせば、がんのリスクを減らすことができるだろう」と言う。

和食とアフリカ料理は低脂肪で食物繊維が豊富

   日本人にも同じことが当てはまる。大腸がんには結腸がんと直腸がんの2種類があり、ハワイの日系移民は日本人より結腸がんの罹患率が高く、欧米白人と同程度であることが以前から知られていた。最近では結腸がん、直腸がんとも、日本人の罹患率は米国の日系移民および欧米白人とほぼ同じで、食生活の欧米化がその要因のひとつと言われている。

   和食とアフリカ料理とは、見た目も味も似ても似つかないが、低脂肪で食物繊維が豊富だという共通点がある。アフリカ人の主食は雑穀やイモ類で、とくにイモ類はヤムイモやキャッサバ、タロイモなど品種によって味が違い、調理のバリエーションも多いのが特徴だ。豆類や野菜、フルーツをよく食べ、塩やトウガラシ、ニンニク、ショウガを中心にしたシンプルな味付けで、油で揚げるより茹でたり煮込んだりする料理が多い。

   ハワイへ渡った日系移民の大腸がんリスクは、1世代でハワイの人々と同じレベルに高まったという。しかし、わずか2週間で腸内環境が改善に向かうのなら、大腸がんのリスクを減らすことは今からでも十分に可能なのではないだろうか。

[Aging Style取材TEAM/監修:山田秀和 近畿大学医学部 奈良病院皮膚科教授、近畿大学アンチエイジングセンター 副センター長]

参考論文

Fat, fibre and cancer risk in African Americans and rural Africans doi:10.1038/ncomms7342

PMID:25919227


アンチエイジング医師団

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